KIRARI MACHINOHITO

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【木工・彫刻家】 谷澤 正廣(たにざわ まさひろ)

今回は東近江市種町(旧能登川町)にお住まいの、ギタークラフトマン、谷澤正廣さんをご紹介します。

「いつかはギターを自分で造りたい」谷澤さんは一つの夢を語られます。高校時代にギターと出会い、ギターを弾いて音楽を楽しんでおられた谷澤さんは、ギターに触れれば触れるほど楽器としての魅力に取りつかれ、ギターの調整や改造に興味を持つ様になられました。高校卒業後、早速、ギター製作の専門学校に入学され、ギタークラフトマンとして本格的に製造を学ばれました。在学中にはノルウェーに1年間、交換留学生として暮らされた経験を持たれています。ノルウェーではミニギター(ウクレレの大きさ程度)を二本造られたとか。

 

一本しか持って帰れなかったそうですが、今でも大切に持っておられます。卒業後はギター造りに役に立つと、彫金細工をしておられるお兄さんの知人に師事されました。奥さんのマリッジリングやペンダントは、この技術を活かした谷澤さんのオリジナルなんです。そしてまたギター造りに役に立つと、木工所で家具職人としての仕事にも就かれました。

 

 

谷澤さんは時間が空けば、美術館や博物館に出かけられます。これが創作活動の刺激や肥やしになる、ご夫婦共通の趣味です。また、クラフト展・イベントにも足を運ばれます。ある日、「木工所で技術を磨いたが…、色々な作品を作りたい」と強く思うようになられました。元来、上がり症で自分を上手く表現できない谷澤さんが、イベント出展を決意された瞬間です。作品やスタイルという枠にこだわらず、インレイ(象嵌・螺鈿)で自分のデザインを表現したいとアクセサリーを造ることから始められました。インレイはギターの装飾に使われる手法で、貝殻や唐木を素材としてベースの板にはめ込むように造られます。工房として使っている近くの古民家では、埃と磯の香りにまみれて、アワビ、黒チョウ貝、白チョウ貝などの厚みのある貝をカットして、薄く削る作業に没頭されています。集塵機の効果も感じられないこの環境で、貝の色や模様を見ながら、仕上がりの色を想像して作業を続けられます。この工程が一番難しく、気を使うのだそうです。あの美しさには、こんなにも過酷な苦労があるんですね。恐れ入ります。この貝殻と唐木と銀を駆使して、ストラップ、イヤリング、ペンダントトップ、指輪などの細やかな作品を造り上げていかれます。今年の ヘムスロイド村クラフト祭りで、作家デビューされた谷澤さん。「イベントを見に行くのと、出展参加するのでは全く違った。他の作家さんの作品を見に行く余裕もなく…」と不慣れな接客対応を反省されます。しかし一方では「色々な人とのご縁ができたし、アドバイスをもらったりしてヒントもつかめました。なにより作家さんと話すと刺激になります」と谷澤さんは話されます。どこへ行くにも奥様の亜純さんと一緒。「二個いち」なんて冷やかされていますが、本当に仲の良いご夫婦です。これを機会に、「二個いち」の谷澤さんの活動が活発になりました。数々の出会いの中で「プロとして誇れる技術があっても無くても、自由に表現したらいい。何でもまず作る事が大切なんだ」と気付きを得たからだとか。自信溢れる作家として「2個いち」で益々ご活躍してもらいたいですね。

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