KIRARI MACHINOHITO

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【陶芸家】 桐山 勝喜(きりやま かつよし)

今回は、7年前から『スーパー植木鉢』を製作されている、東近江市小脇町(旧八日市市)にお住まいの桐山勝喜さんをご紹介します。

 

 

体調を崩された桐山さんは、53才で早期リタイヤされました。「サラリーマン時代にやれなかった事を…」と、身の周りの整理や家庭の事をしばらくやられたのですが、毎日、時間を持て余す日々が続きました。「何とかしなくては」と思い始めた時、「ものづくりをしたい」と強く感じられたそうです。陶芸を習い始めたのですが、設備に費用がかさむ上、作品を作る創作活動に年季がいるため断念。そんなある日、ラジオ番組で「手もみした新聞紙を植木鉢の代わりに使うと、保湿性や保水性も良く、色々な形が出来て見た目におもしろい」というコメントを聞かれました。「これおもしろいかも」と感じましたが、「人の真似をしたくない」桐山さんは、早速、古新聞を素材とした植木鉢づくりに取組まれました。「今から思えば、あのラジオ番組を聴いた時が、人生を変える転機とでしたね」と振り返られる桐山さん。

 

材料は古新聞紙と色粉。成形に使う型材は、カップ麺の容器や食品トレー。手に入り安いモノ、お金の掛からないモノを使うというコンセプトです。オンリーワンにこだわればこだわるほど、未知の世界への挑戦となり、紙の潰し方、水やバインダーの調合など、二年間の試行錯誤の日々が続きました。

 

やっとの思いで完成した『スーパー植木鉢』。意気揚々と、フリーマーケットや園芸店へと販売に出かけましたが…。まったく売れません。元々、植木鉢の価格は安く、芸術性も無いため陶芸家作りません。当時(2004年)は既に環境汚染が大きな問題となり、世界中がエコ商品の開発や販売に取組んでいましたが…、「日本人はエコと言うが、本当のエコは相手にされへん」とエコマインドの低さに桐山さんは失望されたそうです。「しかし、…どうしたら売れるのか」と悩んでいると、ある出展者の人がクラフトの世界を紹介してくれたそうです。その人に導かれるまま、クラフト展に参加し「世界で唯一の製造方法で作る、新聞紙で出来た『スーパー植木鉢』です」「保湿性、保水性、通気性、断熱性も良く、軽い」などと説明すると、ななんと、『スーパー植木鉢』は売れたのです。今では桐山さんは、4月から11月に開催される、関東地方から中国地方までのクラフト展をくまなく周り、出店販売されています。桐山さんは「毎回300個持って行く『スーパー植木鉢』が完売するんよ」と嬉しそうに話されます。なかでも同世代のシニアの人に良く売れ、「植えてみてよかった」とリピーターも多いそうです。「『スーパー植木鉢』はコップ一杯半の水を吸う上、保温力もあって、空気も良く通すから土と同じ役割を果たすのよ」「根腐れもしないし、『スーパー植木鉢』自体に苔も生える」。なかなかの優れモノです!決して鮮やかな色ではありませんが、素焼きの植木鉢と違って、水を吸うと表面の色合いが変化して味のある表情を出しますよ。

 

鉢の色は、赤、黒、青、緑、黄色の顔料を使い分けて出しておられますが、「仕上がりの色は出たとこ勝負」だとか。丁寧に、きれいに、正確にをこだわって『スーパー植木鉢』を作っておられますから、桐山さんは値下げも値上げも決してされません。「丹精込めて作った作品を、安く売りたくない」と思っておられますから。そして買ってもらうお客様には「小さく、可愛く、上品に使って下さい」と言葉を添えられます。「売れるのは嬉しいけど、売れるたびに、この後どないしょ」と桐山さんは思っておられるそうです。実は『スーパー植木鉢』は、日産10個しか出来ないのです。ですから自宅におられる時は、正月も勿論、一日も休まず制作活動に取組まれています。「いかに多く作るか」が今の課題だそうですが、本当に楽しそうに作っておられます。

 

一日中運転していたり、2日で1,000キロ走ったりと、大変な思いをしてクラフト展に出展されていますが、これも桐山さんの楽しみの一つです。車に炊事用具からテントや寝具まで積み込み、各地で出展仲間との出会いと交流、その場その場でのきれいな景色を眺めたり、温泉に浸かったりと、サラリーマンでは味わえない面白いさがあるそうです。今では治らなかった持病も癒え、「どんな良い薬を飲むよりも、今の生活が最高の薬」と体調も万全の桐山さん。

 

『鉢工房 よろこび』を屋号に、桐山さんは、”作る、食べられる、(旅)行ける、出会い”の喜びを噛みしめながら、今日も『スーパー植木鉢』の製作を続けておられます。
今回は桐山勝喜さん製作の『スーパー植木鉢』をプレゼントします。

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