KIRARI MACHINOHITO

キラリ・まちの人

ふるさとに 
芸術・文化・伝統・風土を育む

【人形・工芸家】 谷村 明仁(たにむら あきひと)

皆さんは『近江だるま』って聞かれたことありませんか?今回は東近江市林町(旧能登川町)にお住まいの、『近江だるま』保存会の谷村明仁さんをご紹介します。 

今から24年前、能登川青年会議所の活動で教育長と面談された際に、”のとがわの昔話”(能登川町発刊)という本をもらわれました。その中に『近江だるま』が紹介されていたそうです。その愛らしい表情のだるまに魅かれ、谷村さんはさっそく、作家の寺井さんのお宅を訪ねられました。

 

『近江だるま』はかつて、全国的に有名な郷土玩具だったそうです。創始者の寺井大門(善右衛門)氏が大正時代に製作を始めた、県内唯一の張子の玩具です。大門氏が亡くなると同時に、達磨の製作、伝承が一時途絶えてしまいましたが、全国各地の郷土玩具コレクターからの要望に応えるために、ご子息の寺井清二氏が『近江だるま』づくりを再開されたのですが…。残念なことに、不慮の事故で作家の寺井清二さんがお亡くなりになり、また後継者がおられなくなっていました。

 

そこで谷村さんは、ご家族の方から『近江だるま』の作り方を教わることにされました。残された木型や専用の和紙をお借りして、お仕事の合間に『近江だるま』づくりを教わられたそうです。12年前のある日、能登川町商工課職員の一人から「地域文化を伝承して何とか残したい」との相談を受け、谷村さんと2人で発起人となり、10名ほどからなる『近江だるま保存会』を発足さました。寺井家にお願いし、ご好意により『近江だるま』の木型を拝借し、清二氏の奥様に作り方を教えていただいています。会員の皆さんもようやく慣れ、少しずつ作品が増えてきているそうです。『近江だるま』は漫画チックな表情の男だるま、愛想良く微笑む女だるま、小さく可愛い姫だるまの三種類があります。どれも木型に何枚もの和紙を貼り付け、乾燥後に木型から外し、底の部分にオモリとなる粘土を取り付けます。何と言っても『近江だるま』は顔が命。自然素材の顔料で顔を書くのですが…。もともと、ロウケツ染めやその下絵を書く創作家であった大門氏が書かれただけに、『近江だるま』はキリッとした表情の中にも、「まいったなぁ」なんて漫画チックな表情が魅力です。そのなんとも味のある、絶妙なだるまの表情を書くことが至難の業だそうです。

 

また谷村さんは、素晴らしい地域文化を知ってもらうために、また製作の伝承と保存のために、地元の小学校で製作授業も開かれています。「この子供達の中から将来、保存会のリーダーや主力メンバーになって欲しい」と谷村さんは思われています。実は、私の子供も小学校で『近江だるま』を作って、持って帰ってきました。今も、大切に飾ってあります。

 

「『近江だるま』保存会の活動を知った皆さんから、自宅にあった『近江だるま』を寄付してもらったり、各地から『近江だるま』の注文をもらったりとうれしいかぎりです。本当に創り続けてきて良かった」と谷村さん。谷村さんの一番のお気に入りは、京都の骨董品店で買った小さなだるま。「この表情が何とも言えんでしょ」と話されていました。

 

現在も毎月第一木曜日の10時から2時間、能登川博物館で創作活動をされています。新しいメンバー大歓迎です。制作活動は決して安易なものではありませんが、「創ってみたい」とお考えのあなた。『近江だるま』の魅力を体感してもらうために、是非ともご参加してみて下さい。

Contact

お問合せ

■ 法人のお客様はこちら

0120-072-834

月〜金 9:00-18:00 定休:土日祝

■ 個人のお客様はこちら

0120-15-4939

9:00-18:00