KIRARI MACHINOHITO

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【音楽】 菊井 了(きくい さとる)

今回は近江八幡市杉森町にお住いの、よし笛考案者・制作家であり演奏家でもある菊池了さんをご紹介します。 

瓦ミュージアムの初代館長に就任された菊井さんは「子供の頃に聴いた、瓦職人が瓦を割ったり叩いたりする度に出る音色に感動した」と言われます。そこで、産業で使われている地元の粘土を使って、その音色を出せる楽器ができないかと考え、瓦奏琴という楽器を作られました。しかし・・・瓦奏琴は重くて演奏の度に運ぶことが大変でした。何か良い素材はないかと思いをめぐらしていたところ、屋根葺きの材料に瓦と同じく使われているヨシを使うことをひらめいたそうです。

 

ヨシ原は琵琶湖の風景でもあるし、スダレやタイマツ、漢方薬にも使われる馴染みのあるものですから。スダレの端材をもらって、尺八やケイナのような管楽器を作るイメージは出来たのですが、弱くて細いヨシは吹いてもかすかな音が出るだけです。とても音階がだせるなど・・・。そこで菊井さんは、同じスダレの端材の竹に目を留められ「これをマウスピースとして使えるのでは」と思われたそうです。試行錯誤、苦節一年1998年に世界で初めての新しい楽器”琵琶湖よし笛”の原型が完成したのです。更に一年「自然のまま如何に素朴な音を出せるか」を追求され、ヨシと竹しか材料として使わずに、空気を吹き込むだけで誰も簡単に音を出すことができる現在のよし笛に作り上げられたのです。

 

ヨシの長さ240㎜前後直径12~14㎜の物を使うのですが、基礎の音(全部穴を押えた時)であるファの音が簡単にでるわけではないとか。「ヨシは自然のものだから、一本一本太さや厚みが全て違うんです。ですから、穴の位置や大きさも一定のものではダメなんですよ」と菊井さん。最後の調律の時間も含めて2時間、全て手作りの”琵琶湖よし笛”完成です。笛は細身ながら2オクターブ出るんですよ。”琵琶湖よし笛”で商標登録も終え、これからはこのよし笛の普及活動です。まずは学校に寄付して、よし笛教室を開催されました。今では小学校5年生になると毎年、子供たちが校内演奏会を開催してくれています。「お土産にしたら」というお話もあったそうですが、楽器という菊井さんのポリシーと合わないとお断りをし、販売は近江八幡に本社のある塚本楽器店の県内の各店、またはホームページから購入することができます。

 

2000年に”近江八幡琵琶湖よし笛アンサンブル”という演奏サークルが、日本よし笛界では最も早く結成され、現在では県内50グループの演奏団体ができています。2006年には”日本よし笛協会”を発足、21サークルが認定加盟されています。また、よし笛の製作や演奏指導講師の検定試験制度も設け、よし笛愛好者の普及拡大に力を注いでいます。

 

1992年には全国初のヨシ群落保全条例を滋賀県が制定し、琵琶湖の葦原の風景が守られる様になりました。7年後”琵琶湖よし笛”が菊井さんの手によって作られ、たくさんの人が”琵琶湖よし笛”の愛好者となって演奏を楽しんでおられます。

 

菊井さんは「よし笛を演奏するたびに、琵琶湖の恵みの恩恵や自然の大切さを考えてもらえたら」と話されてます。滋賀県で開催されるイベントにも”琵琶湖よし笛”が生まれた10年以上前から演奏せれていて、今では滋賀を代表する楽器になりました。皆さんも一度、演奏されてみては如何ですか。

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