KIRARI MACHINOHITO

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【ガラス作家】 東 敬恭(あずま やすゆき)

今回は東近江市平柳町(旧湖東町)に工房を構えられるガラス工芸作家、東敬恭さんをご紹介します。

工業デザインがしたいと進んだ学校で、鋳物、彫金、銅器などの伝統工芸まで幅広く学ばれた東さん、当時は時間をかけて一品生産する伝統工芸技法の良さが解らなかったらしく、ずっと疑問を持っておられました。製品のデザインが出来る家具製作の会社に勤められましたが、試作部門ではなく製造現場配属となり、日々の単純作業に疑問を持ち始め、工芸のものづくりに引かれていかれたそうです。悶々としながら様々なものづくりに挑戦を重ね、ガラス工房を立ち上げる新規事業に関わられた時、「職人さんの姿ってカッコいいでしょ。本当の現場を見て、現場の緊張感にやられたって感じですかね」と21年前を振返られます。

 

職人さんに付いて6年間。最初の2年間は来る日も来る日も、基本となるガラスの生地を巻く作業だけ。しかも職人さんの仕事は人によって作業方法も違うし、マニュアルもありません。「なぜ出来ないのか解らない、自分で気づくしかないんです。気づくまでは教えてもらえません。だから、教えてもらえないから自分で工夫したり自分なりのものを考える。今思うと、教えてもらえないのが最高の教え方だと実感しています」と話されます。習い始めて3年たった頃から、自分の考えた物を作りたいと思い始められたそうで、仕事が終わった後の練習で、自分の思ったものを作り始めたそうです。創作活動の心に火がつきました。

 

「吹きガラスはその度に違う表情になるし、今日吹いたモノは明日と結果が早いのがいいんですよ。それにガラス素材は正直だから、制作作業の度に自分の精神状態を見抜かれたり…、たくさんの事を教えてもらいます」と東さんは笑われます。ガラス制作では薄く作れば作るほど、早く作らなければなりません。「デッサンを描くこともありますが、普段は作っている途中で「いいな」と思った時に止めるんです。やり始めた頃にはできなかったけど、長年やっているとアドリブの要素が増えるんですよ」と。作りたいモノの理想形は常に頭の中で描いておられる東さんだから、そんな芸当がお手のものなんですね。

 

作家にとって大切な事がもう一つ、たくさんの人に見て使ってもらえるよう、発表する機会を増やすこと。作品は基本的に日常の生活に密着したもので、暮らしの中で使ってもらいたいモノを中心に展示されます。しかし、作品の展示場所に東さんは、一つの絶対条件があると言われます。「個展は作家とお店とお客様の真剣勝負の場。ですから、ガラスを販売するための空間がとても大切なんです」と。その中で開催される個展は、客観的に自分の作品を見られる貴重な場所なんだそうですよ。

 

ガラス作家としての東さんの夢をたずねました。「ルーティン・ワークでも構わない、たくさんの器を作り続けたい。その一方で、作品としての一品物も手掛けていくという、明確に分けた創作活動をしたいですね。金属とのマッチングもいいですね」と将来を語られました。東さんのガラスの器でフレッシュな食材を並べ、そのグラスで旨い酒が飲めたら最高でしょう。

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