KIRARI MACHINOHITO

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【音楽】 橋本 映子(はしもと えいこ) 

今回は近江八幡市野村町にお住まいの、琵琶奏者の橋本旭仙さんをご紹介します。 

30年程前から錦城流の詩吟をたしなまれ、今では大師範の橋本さんは、詩吟との縁が深い琵琶の演奏に興味を持っておられました。
ある日、筑前琵琶橘流日本橘会旭城会三代目堀川旭城さんの襲名披露に伺われ、琵琶の音色と弾き語りの楽しさ、奥の深さに感銘を受け、早速師事をされました。「私も楽しんでみたい」と習い始めましたが、始めてから3~4年間はとても厳しかったそうです。

 

歌の本には、お経の様に文字と記号が書いてあるだけ…。別綴じで口三味線の基本パターンの譜面が幾通りかあるのですが、それぞれの歌に楽譜はありません。元来、口伝えの芸ですから、耳で聞いた音を記憶して、指で押さえてその音を琵琶で探します。譜面と歌の本を交互に見ながら演奏すると、流れができず上手く弾く事は出来ませんから、口三味線に合わせて音を合わす練習が日々続きます。「今こうして楽しく続けていられるのも、良い仲間に恵まれたお蔭です」と橋本さんは笑われます。

 

芸事はここまで習ったからと、終わりがあるものではありません。習えば習うだけ上手くなる。その琵琶の芸事の奥深さ、歌の語りの面白さと琵琶の音色が魅力に魅せられ「一日中でも琵琶を演奏していたい」と言われます。橋本さんは演奏者というだけでなく、琵琶のコレクターとしてもなかなか。「習い始めは何処で琵琶を買えるか分からず、骨董市や骨董店でやみくもに買いましたから、随分授業料を払いました。材料となる大きな桑の木もなく、カリン、シタン、欅も豊富ではありませんし、何よりも琵琶を作る職人がいないから新しい琵琶はありません。修理してくれる職人さんも希少価値なんですよ」と橋本さん。

 

だから、良い状態の琵琶を見つけたら、持っておきたいお気持ちになるのでしょうね。力強い薩摩琵琶や筑前琵琶が数多く、中には、大津絵を描いた風情のあるモノや漆と蒔絵で仕上げた優雅なモノと、橋本さんのオリジナルの琵琶もあります。「琵琶は弾き手によってどんな音でも出せる」と橋本さんは言われますが、皆さんは琵琶の演奏を聞かれたことがありますか?雅楽で奏でる楽琵琶、語りの間奏を奏でる平家琵琶、歌の伴奏を奏でる薩摩琵琶や筑前琵琶とありますが、橋本さんの筑前琵琶橘流は5弦の琵琶を使い、七五調で語られる歌と間合いのある華やかな伴奏が特徴です。琵琶の歌は一曲30~40分かかるのですが、一曲15分位に短く歌うことが一般的です。

 

ですから、自分の好きな場面、季節や演奏する席、と色々な事に合わせて演奏されます。「たとえ同じ歌を聴いたとしても、皆さんには分からないと思いますよ」と話されます。歌の数は一冊に15首、その本が7冊の105曲。興味が湧いてきましたか?

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