ふるさとに
芸術・文化・伝統・風土を育む
陶器にこだわり、敢えて粗い土を使いながら滑らかに、土の温かみを感じる器を作る。竹口さんは信楽の土を焼き締まる様に独自調合され、持ち易さ・軽さ・口当たりの良さを追求し、磁器のような薄い器を作られています。
作品の多くはカップ、ソーサー、菓子皿。アンティークに憧れがある竹口さんは、流行りに乗らず、器を使って育てるという様に、使い込むほど味と風合いが出るモノを目指されます。象牙色の器は貫入が出にくいよう釉薬を調合することで汚れにくく、磁器のようにいつまで変わらない表情を楽しんでもらうために。砂金色の器は使い込むにつれ艶が出て黒っぽくなる風合いを楽しんでもらうため。この様に変わらない良さ・育つ魅力、それぞれの色を楽しんでもらえる様に作られています。仕上がりからアンティークになる様にと、焼成や釉薬の過程で工夫をし、見事な出来栄えの作品ができたのですが「電子レンジで使えない」と制作をやめられました。竹口さんの日常使いの器へのこだわりなのでしょうね。
「甘いものが好きだから、甘いものをのせる皿を造っている」と笑われる竹口さん。趣味と仕事を通じて交流されたアフタヌーンティーの先生に、マグカップとティーカップは本来違うモノで、ティーカップの取っ手はつまんで持てるもので、底には高台があるのだと教えられたそうです。飲み易い、持ち易いというサイズ感と共に、数少ないティーカップ作家として「朝起きた時に、この器で飲みたい」の追求は続きます。
暮らしの道具に徹される竹口さんですから、ファンも多数おられます。「お客様の注文制作をしていた頃は、納品までに4年も待ってもらうことになってしまい、お客様にも申し訳ないし、自分自身も新たな創作活動ができないというジレンマがありました」と話されます。そこで今は、個展や即売会にあるモノを買ってもらう販売方法に変更されたそうです。これならば欲しい器を欲しい時に買ってもらえますし、竹口さんも新たな創作活動へ挑戦する機会も増えますものね。「ありそうでない器。形、仕上げ、使い方の追求をしながら、手に伝わる土の温かみを伝えられれば。お客様のために作っているけれど、自分を満足させるものを造りたい」と、竹口さんの暮らしの道具としての創作活動は続きます。
12/1~26 CAFÉ GALLERY hagi (名古屋市西区宝地町173)にて『hagi の冬展2022 -温まる冬-』の作品展があります。竹口さんの企画展です。
Utsuwa kobako
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