KIRARI MACHINOHITO

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【木工愛好家】片山 文三(かたやま ぶんぞう)

 今回は東近江市五個荘小幡町(旧五個荘町)にお住いの、木工愛好家としてくるまのおもちゃを製作しておられる片山文三さんをご紹介します。
子どもの頃から数学と絵が得意で、モノづくりが好きな片山さんは、モノを大切にする子供だったと振返られます。ご自宅をリフォームした時の廃木材を何か活用できないかと考え「孫にくるまのおもちゃを作ってみよう」と、廃木材を使ってくるま作りを始められたことがきっかけでした。お孫さんが喜んだのは勿論、しかしそれ以上に、達成感に充ちた片山さんの姿があったそうです。以来15年もの間に、制作したくるまは200台を越えるとか。その完成度の高さと美しさは、子どもだけでなく大人をも魅了します。「欲しい」と言われる声に応えて、お客様はもとより、知合いにも無償で進呈されていますから、現在手元に残っている作品は100台位だそうです。

「はじめは実車の模倣作品を2~3台作りました。しかし、時間ばかりかかって面白くないんですよ。実車はプラモデルに任せて、夢を具現化するデザインにこだわって作り始めるとアイディアが次々と生まれ、時間を忘れて没頭しました。やっぱり、自分のデザインが形になることが嬉しいんですよ」と笑われます。
ある日、同級生のお孫さんに2台プレゼントされたら、そのご縁で近江八幡の瓦ミュージアムで『夢をはぐくむ木製自動車展』と題して、65台が展示される作品展を開くこととなりました。「こんなに大きな会場での展示会は感無量でした」と片山さん。そして今年、五個荘図書館で『ぶるんぶるん はしるならぶ 木のくるま展』を開催されました。
片山さんの木のくるまの魅力、一番は環境問題に配慮したアップサイクルであること。今でも地域の大工さんや建設会社の人達が、解体建物の廃材や余った木材をたくさん提供してくれています。そして、その中から材料の長さを30cm程度に限定して、材質を見ながら図面にデザインを描くこと。細かな部分も削り出し、木の色や木目を上手く組合わせて、きれいで長持ちする、手に優しいおもちゃに仕上げられていること。最後に「あったらいいなぁ」と片山さんが考えられる、奇想天外で独創的な、優しさ溢れるデザインです。
制作は図面に描いたデザインをもとに加工し、左右対称に木目を合わせながら数枚の板を張り合わせます。およそのフレームができたら、細部を丁寧にヤスリ掛けし、丹精込めて塗装します。ご覧下さい、この木のくるまたち。「廃材は既にヒビや割れがあるので、それ以上大きくならないのがいいんです。木目合わせは磨いて初めて解る場合もあるし、着色の吸い込み具合も塗って初めて解ったり、緩い曲線を手だけの感触で作ることも難しい。それでも3Dプリンターで作るより、手作りには味があるんです。手で磨く度に良くなるから手作りなんです。木のくるま作りは心が喜ぶかけがえのない時間です」と笑われます。1台作るのに2ヶ月程と手間がいりますが、その楽しさと醍醐味が休日だけでなく、仕事の合間や休み時間にもおもちゃ作りをされるのでしょうね。
木のくるま作りの未来についてお尋ねすると「最近は次のデザインがなかなか出てこないんよ。だけど皆さんに喜んでもらうことが最高に嬉しいから、手が動く限り作り続けますよ」と満面の笑顔で話されました。益々のご活躍を楽しみにしています。

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