KIRARI MACHINOHITO

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【画家】唐仁原 希(とうじんばら のぞみ)

 今回は竜王町出身の画家で、現在京都を拠点に活動されている唐仁原希さんをご紹介します。
子どもの頃は、毎日マンガや絵を描いていたそうで、アニメの『フランダースの犬』を見てルーベンスの絵を知り、西洋絵画に興味を持たれました。小学校の卒業文集で既に「画家になる」と宣言され、今まさに油絵の具象画作家として活躍中です。東京、京都、大阪、など、全国各地で個展、グループ展を開催されるほか、2015年京都市芸術新人賞、2021年第24回岡本太郎現代芸術賞展特別賞、今年2022年の滋賀県文化奨励賞など多数受賞されています。

憂いのある表情に吸込まれそうな大きな瞳、唐仁原さんの作品は、見る者に強い印象と妙な親近感を与えます。「人物は古典的な絵画技法で立体的に描いているのですが、顔の造形は漫画のスタイルを用いているので、髪型と目の色でキャラクターの描き分けをしているんです。」と笑われます。大好きな少年漫画やアニメ、RPG(ロールプレイングゲーム)に親しんでこられた唐仁原さん。大好きなルーベンスなどのオールドマスター(18世紀以前にヨーロッパで活動された画家)の伝統的な西洋絵画にどこか懐かしさを感じるのは、その世界観がドラクエなどのRPGを想起させるからだそうです。伝統的な西洋絵画と日本のサブカルチャーである漫画・アニメを融合させ、文化と時代がねじれた世界観を作風にすることを目指されています。「少年漫画にある、未熟だけど、特別な能力を持った子どもたちが世界を救うストーリーに影響を受けて、今の絵画のスタイルが生まれました。誰もが子ども時代に思い描いた可能性に心を委ね、見る人それぞれが独自の物語を、私の作品から読み解いてくれたら嬉しいです。」と話されます。
余談ですが、今年の9月に封切られた映画『マスカレード・ナイト』のエンドロールに、唐仁原さんの作品が登場しています。木村拓哉さんの映画を見終わった後、二度おいしいと満足してもらえること間違いなしですよ。
さて、今回の個展『トリックスターは笑わない』は、唐仁原さんにとって一つの転機と感じずにはいられません。今までの様にエンターテイメント的なバロック絵画の背景ではなく、絵から彩色を排除してシンプルに人物だけを描かれています。「いつもは花束をつくるイメージで足し算の仕事で背景を描いていますが、今回は盆栽を作るイメージの引き算の仕事です。間引く経緯を見せることで絵画の理解に繋がるのではないかと思っています。」と話されます。破壊がなければ創造はないと言われますから、唐仁原さんのトリックスターはまさに、唐仁原さんの制作に新しい可能性を与える存在なんですね。
さて、唐仁原さんは現在、大阪成蹊大学のイラストレーション・美術コースで実技指導されています。生徒の個性を引出して、多くの後に続く作家をご指導頂きたいですね。
来年度も多くの展覧会を抱える唐仁原さん。今後の活躍に目が離せません。益々のご活躍が楽しみです。

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