KIRARI MACHINOHITO

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【陶芸家】南 幸男(みなみ ゆきお)

 今回は東近江市五個荘金堂町(旧五個荘町)にお住いの陶芸家、南幸男さんをご紹介します。
「ともかく何もなかったけど、絵が好き、釣りが好き、年齢に関係なく幅広い世代で毎日面白いことを考えて、遊びに明け暮れてましたね」と子供の頃を振り返られる南さん。工業高校の頃には独学で絵を描いていたこともあって「絵に携わっていたい」と卒業後に、友禅染の図案を描く工房へ弟子入りされます。3年余り基礎から学びましたが、着物需要の先細りで思う様に仕事ができず…。紆余曲折を経て、滋賀県の伝統工芸品である信楽焼にひかれ、小島太郎氏(布引焼窯元)が当時信楽にて活動されていた『オリジナル工房』に弟子入りされます。

 

「焼物はとても魅力的でした。絵付けの経験も役に立つのではと思いながら、新たな道へと挑戦したんですよ」と話されます。水を得た魚の様に創作活動に打込まれ、3年後には地元で活動したいとの強い思いで、永源寺門前で『しきろ庵』と銘打って陶芸工房を開かれました。
「気の置けない仲間3人と、地元の活性化も兼ねて工房を立ち上げました。「しきろ」とは永源寺の裏山にある識しき蘆ろ滝のたきから名付けたんです。今では永源寺地区にはたくさんの作家が活動されていますが、私らはその走りですね」と笑われます。

 

1995年五個荘地区にてんびんの里文化学習センターがオープンすると同時期に、住まいのあるこの地区に『しきろ窯』として創作活動の場を移されました。地域に根差した創作活動を続けながら、生涯学習につながる陶芸教室を主宰すると共に、他の作家の教室と合同展示会を開催たりと、陶芸活動の普及に努められました。そんな活動の中から「昔の街の風情で、地域を活性化したい」との志を同じくする、近郊の仲間達20人ほどで『グループ土つち塊くれ』という創作団体を立ち上げられます。
なかでも陶芸工房『淡湖焼』の小島さんとは、毎年1回のコラボ展示会を開催したり、『中仙道灯り道』と名付けた陶芸と灯りのイベントを、時期を変えて、彦根高宮地区、愛荘愛知川地区、東近江五個荘地区にて実施され続けておられます。
現在南さんは、蒲生地区の小学校や県立長浜北星高等養護学校にて、ものづくりの楽しさや陶芸の魅力、子供達自らの可能性を見つけるきっかけづくりにと、講師として関わっておられます。「毎年アートイン・ナガハマに出展して、自分の可能性に挑戦する生徒さんの姿は、私の創作意欲の大きな刺激にもなっています」と南さんは話されます。「面白いこと」を求め続けられてきた南さんは『しきろ窯』の陶芸教室でも、身近な日常生活の中にある「面白いこと」を創作の核として指導されています。ひな人形型の土鈴も、その一つです。

 

南さんに今後の活動についてお尋ねすると「近江商人が活躍した江戸から大正時代の街道の風景を地元の織物に墨絵で描き、そこに陶器から洩れる柔らかい灯りで、古き良き時代の時の流れや風情を味わってもらい、古い街並みに愛着や親しみや誇りを持ってもらえたら。そんな気持ちで『中仙道灯り道』をやり続けていきますから、少しでもたくさんの皆さんに、参画、参加して欲しいですね」と南さんは話されます。夜の暗闇をオレンジ色の薄明かりで楽しんだ時代、魅力的なモノばかりが目に映った時代、不安の中に喜びや楽しみを見つけていたあの頃を『中仙道灯道』で見つけられたらいいですね。日々の「面白いこと」、南さんに教えてもらいたいものですね。

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