KIRARI MACHINOHITO

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【絵画修復師】北川 優羽(きたがわ ゆう)

 今回は彦根市の出身の絵画修復師、北川優羽さんをご紹介します。
活発な遊びが好きな、ちょっとやんちゃな娘だった北川さんは、男の子に交じって駆け回る毎日でした。休みの日は大工の一緒に現場に行って、木端材で遊ぶことも多く、職人さんたちの丁寧な仕事を見ることも楽しみの一つでした。学校では工作や絵が好きで、お母さんと一緒にお城の写生大会に参加したり、美術館を見て回ったりと、落ち着いた一面もありました。

 

美術部に中学・高校と所属され、ヤル気満々の仲間や先生にも恵まれ、充実したクラブ活動を満喫されました。ある日、京都市立美術館の日曜講座の案内が目に留まり「これに行きたい」と申し込まれたのです。「この時の講座は二条城の襖など修復作業がメインで、吸い込まれる様に釘付けになりました。この時から絵画の修復師になりたいと、憧れるようになったんですよ。でも困ったことに、どうすれば修復師になれるのか解らなかったんです」と話されます。大学の美術科に入学し、修復の仕事のためにと日本画を専攻されました。すると偶然にも、指導していただく先生のお一人が模写をされていて、修復の仕事をされる人達との交流関係があったのです。以後は先生と共に模写の部活動を立ち上げられ、先生のコネクションを頼りに、東京、京都、岐阜、金沢と材料屋や修復工房などを精力的に回られました。「訪れる所はどこもすごく刺激的でした。先々で出会う全ての職人さんが、扱うものの性質や特性、道具など、ともかく使う物の事をよく知っておられるんです。こだわりを持って極め、貫かれる姿勢に感動しました」と目を輝かされます。

 

ところで皆さん、文化財修理技術者って仕事をご存知ですか。「絵画」「書跡・典籍」「古文書」「歴史資料」の国宝・重要文化財など、文化財(美術工芸品)の保存修理は、一般社団法人国宝修理装潢師(そうこうし)連盟に加盟の全国12社の工房に所属する、139人の登録技術者が主に担っています。文化財の修理技術は国の選定保存技術にも選定され、国際的にも認知されている大切で、難しい地味な仕事なんですよ。
北川さんは卒業後、地元にあった文化財を修復される工房に働く場所を見つけられます。憧れの修復師への第一歩でした。たくさんの作品の修復作業はハードを極めました。生活の全てが仕事の毎日、しかし好きが勝ることと、新たな命を吹込む仕事はやりがいに充ちていました。

 

結婚を機に生活拠点が変わったために一旦仕事を離れられ、現在は出産、育児と、主婦として母としての生活をされています。しかし…、修復師への思いは募るばかり、育児と両立できる、時短で働ける職場はないモノかと探されます。作業場が自宅からそう遠くない上、面識のあった株式会社光影堂の大菅社長に相談され、北川さんの機能の働き方で修復師としてカムバックされることとなりました。

 

「離職の間、私は手仕事が本当に大好きなんだって実感しました。幼い頃から父の大工仕事を見て手仕事に憧れ、女性でもできる職人仕事をと、好きな絵で職人仕事ができるこの仕事を選んだのですから。
私には天職なんでしょうね」と笑われます。集中力と目の良さが重要ですが、体力と気力が続く限り、より良い手仕事を続けていきたいと、今後の使命を語られました。

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