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【観音さん詣での達人】須田 登志子(すだ としこ)

 今回は東近江市佐野町(旧能登川)にお住いの、観音さん詣での達人、須田登志子さんをご紹介します。
能登川地区の猪子山(標高268m)の山頂直下には「北向き観音さん」と地域の人達に信仰されている、北向岩屋十一面観音堂があります。ここは麓の善正寺の奥の院ですが、宗派に関係なく多くの人がひっきりなしに、毎日参拝されています。55cmほどの石像の観音様をご本尊として、お堂奥の岩窟の中にお祀りされていることから「北向き観音さん」と親しみを持って呼ばれています。

「毎朝、家の近所をうろうろと散歩していたんやけど、近所やから気づつないと思っていたところ、仲間に誘われたことをきっかけに、人を気にすることなく散歩ができると観音さんに上がったんよ」と50年前を振り返られます。雨の日も風の日も、天気に関係なく観音さんに上がられる須田さんを見て「千日回峰行の様に満行したらお祝いをしてあげる」と仲間達から声がかかりました。昭和58年3月11日「よし」と心に決め、往復4kmの山道をひたすら2年7ヶ月、4000kmを一日も休むことなく走破されました。これが昭和60年12月7日の満行時に、仲間の皆さんから送られた記念のタテです。それ以降はご主人と一緒に毎日観音さんに上がられ、皆さんとラジオ体操を楽しまれました。また、観音さんの仲間達と旅行に行ったり、登山道を上りやすくするために道普請(整備)をされたりと、観音さんライフを満喫されました。7年前にご主人を亡くされ、一緒に上がる仲間がだんだん亡くなっていく中でも、毎日、観音さんに上がられます。6月の大祭のある時には、一日2回上がられることもあるとか。お参りの山登りを続ける楽しみを尋ねると「別になんもあらへん。毎日ありがとうとお礼を言うためかなぁ」と須田さんは笑われます。北向岩屋十一面観音堂への登山道は、桜、山百合、紫陽花、紅葉、さざんかなど四季折々の花々がきれいです。またここ猪子山は、秋の鷹の渡りの観察に適した場所として知られ、一昨年は1日で2,272羽、9時から10時までの1時間で937羽がカウントされました。「鷹のシーズンには看板が出て、たくさんの人が上がらはるんよ」と須田さん。お参りの楽しみは、日々のお礼を告げること、体操をして健康を喜ぶこと、人との交流、そしてきれいな景色を見ることと数々です。この冬の大雪で正月の三が日は断念されましたが、息子さんご夫婦に見守られながら雪を踏んで上がられます。80才を超えた今でも「病院の方から上がったら15分はよけいにかかるから」と、今まで通りの険しい石段の道を観音さんに上られます。4時半に家を出て、35分で観音さんへ到着。一回も立ち止まることなく、ご主人にプレゼントした杖を両手に、今日も達者でお参りに上がられます。観音さんへのお参りを始められて50年。今日までの歩かれた道のりは73000km以上となり、地球(1周約40,000km)を2周回られる日もあとわずかです。「今日一日上がれて良かった」と、観音さんにお礼を言える様に、何時までも健康でいて下さいね。

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