KIRARI MACHINOHITO

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【美術家】 奥田 誠一(おくだ せいいち)

今回は、東近江市永源寺相谷町(旧永源寺地区)にお住まいの美術家・奥田誠一さんをご紹介します。
子供の頃から物を作ったり、描いたりが好きだったので大学では美術を専攻されました。そこでアカデミック(学術的)な美術表現だけでなく、コンセプト(意図・テーマ)を大切にする「現代美術」の表現を知ることとなりました。見かけのリアルさだけの表現にとどまるのではなく、伝えたい想いを、表現として実現するために、奥田さんの表現方法は様々です。平面・立体・ランドアート(大地を扱った芸術)・インスタレーション(空間構成の芸術)とジャンルにとらわれない活動をされています。

自由な表現のために、枠を決めず何でも出来るという意味で、「美術家」と自称しているそうです。
これらの作品(写真1・2)は、奥田さんが制作されたランドアート、[アース レボリューション]です。学生時代から30年以上、シリーズとして作り続けられています。人と自然の関係をテーマにされています。「人が普段は意識せず、安心感すら抱いている大地は、地震時にわかるように、不動のものではありません。人の存在は、不安定な大自然の中にあることを感じてもらいたいです」「思い込みで見ていたモノが、視点を変えると違った存在となる体験を、私の作品でしてもらえたらと思います」と話されます。実際、奥田さんの作品の中には、柔らかく変形したり、浮き上がったりするものもあり、体感や実感として、鑑賞者は楽しむことができます。

 

また、表層の変化や形状にこだわった作品、[サーフェス]のシリーズもあります。作品[surface – 思考と感情の行き交う処](写真3)は焼けた薄い和紙一枚一枚を貼り合わせて、人の姿が、形作られています。中は空洞で燃えた無数の穴が見られます。消えた部分があるからこそ、逆に全体の存在感は増しています。見え隠れする空洞部分に、精神的なものの存在すら感じます。再生や蘇りがテーマだそうです。そして[フラグメント・オブ・ライト(ヒカリの欠片)]のシリーズの2作品(写真4・5)。粉砕された透明樹脂や貝殻が、大量にそして無作為に並べられています。特異な空間の雰囲気を味わってもらうと共に、一人ひとりが気配や見え方を独創的に感じてもらう作品です。「透明樹脂の作品(写真4)では、どれ1つとして同じ形でない欠片が、それぞれ光を受けて輝く姿を見て欲しいです。また、カラフルな大壁面の作品(写真5)は、赤・青・黄色・緑・水色・ピンクの6色の貝殻片を均等量で未作為に混ぜ、壁面に仕上げたものです。見る場所によって、また見る人がどの色に注目したかによって、色んな模様に見えたりします」と解説いただきました。

 

この様に様々なアートに挑戦される奥田さん。
大学卒業後から今日まで、高校で美術教師として、未来の美術家を育てられています。「人のまねでなく、自分の頭で考えだすことが大切です。そして、思いつきや考えで終わらずに、作品づくりを実践することがアートです」と生徒さんに伝えておられます。「教員という仕事には、定年退職がありますが、アートにはありません。自分自身や他人の好奇心を活性化するために、固定観念を揺さぶる作品を作り続け、アートに関わり続けたいと思っています」と未来を語られました。
益々のご活躍をお祈りします。

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