KIRARI MACHINOHITO

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【画家】 藤野 裕美子(ふじの ゆみこ)

今回は、垣見町(旧能登川地区)共同アトリエで制作する、画家の藤野裕美子さんをご紹介します。
子供の頃から休み時間を見つけては絵を描く、どんなに体調が悪くても絵を描いていればご機嫌な藤野さんは「ドン臭いけど、好きなことはあきらめない、続ける人」と子供の頃を振返られます。

小学校の先生に友達の絵のアドバイスを依頼され、アイデアや描き方をアドバイスすることもありましたが、絵は好きだけれど上手くはないと思われていたそうです。それでも高校進学の時には、「自分に出来るものは美術しかない」と美術科のある高校 に進まれ、美術のことしか考えられなかった3年間を過ごされました。「上手い人がたくさんいると実感しました。自分も上手くなりたいので、人よりも一枚でも多く描き技術を身につけよう。才能がない分、数多くの作品を描こうと、大学院を修了するまではともかく数を描き続けました」と笑われますが、その甲斐あって様々な展覧会で発表したり、公募展で受賞をしたりするようになりました。

 

大学の伝統工芸研修で唐紙の設えを体験し、白い紙にキラ(雲母)を塗って仕上げた白一色の唐紙が、光と影の具合で様々な表情に映る事を実感し、絵具が陽・月の光やロウソクの明かりによって変る見え方に魅かれられたそうです。「岩絵具は小さな粒に面があります。絵具の粒子が光を受けて絵の印象が大きく変ります。自然光やロウソクで見ていた頃の絵に習いながら、自然光で作品を見る展示などもしています」と話されます。

 

長年、人の身体の部分をクローズアップした絵を描かれていましたが、ある日、知人の古民家を訪れた際に、迷い込んで入ったお風呂場。そこで見た、目を見張るようなタイル細工の装飾性に、一瞬で魅せられたそうです。その後、何度もその場を訪れ、スケッチに没頭されます。生々しい生活感、置き去りにされた建物の怖い様な生気、朽ちて変容していく光景など、人の手を離れた場所やモノに起こる変化に吸い込まれます。その時、新たな取組みテーマが生まれました。2017年「飛鳥アートヴィレッジ2017」への参加から、古い建物でみつけた様々な要素を描かれる藤野さんの絵は、カラフルな色使いへと変化していきます。

 

日本画とは自分にとってどの様なものなのかをお尋ねすると「日本画を勉強し始めた頃からずっと、自分と日本画の関係、距離を探っているような感じです。絵具が物質的で粒子の一粒一粒が画面の中で役割を果たしていることが実感できる不思議な画材です。その特性と描きたいイメージを結びつけて描きたいです」と話されます。

 

自分のポジショニングのために、大学院修了後4年間一人で描いておられましたが、他者との関わりや、熱意を持って創作に取組む人達の刺激が欲しくなっていたそうです。能登川の共同アトリエSoilの誕生を期に、6月に自宅のアトリエから活動拠点を移されました。作家仲間と切磋琢磨し励みあい「頭の中に浮かんでいるイメージがたくさんあります。ひとつずつ丁寧に、よりよい作品を制作していきたい」と目を輝かせる藤野さん。これからのご活躍を期待しています。

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