KIRARI MACHINOHITO

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【洋画家】池川 茂(いけかわ しげる)

 今回は近江八幡市生須町にてアトリエを構えられる、洋画家の池川茂さんをご紹介します。 子供の頃から絵を描くことが大好きだった池川さんは、小・中学校時代には県展での特選を始め数々受賞されました。高校卒業後も仕事の傍ら、漆調合の技術を駆使して、漆絵を描き続けられました。滋賀へ移住してからも昼は仕事、夜は独学で油絵を描く日々が続きました。黒い色にこだわり、独創的な漆色で描いた絵は、連続5回特選取るという快挙を成されます。ところが36才の時、最愛の奥様が亡くなられました。失意の中でも2人の子供を育て、暇を見つけてはキャンパスと向き合われた池川さん。

子供達が巣立ったと同時に「好きな絵をもっと自由に描きたい」と、意を決して単身フランス・パリへ渡られます。50才の年でした。池川さんの心に火をつけ、奮い立たせたもの、それは「絵に答えはない」との反骨精神だったと自らを振り返られます。 日本人作家や画材店のあるモンマルトルを活動拠点としますが、言葉も解らず安宿を転々とする毎日に心が折れそうです。そんな時、偶然出会った春日部洋画伯の紹介で、アパートを貸してもらえるようになったのです。「春日部さんは一日でも長くパリにいた者が勝ちだと言われ、23年もの長い月日をパリで過ごしたんです。その間、活躍するたくさんの芸術家を紹介して下さり、切磋琢磨する仲間との交流の輪が広がりました。本当に苦しかったですが、どん底のこの時期が一番充実していた時期でしたね。作家達の情熱こそがフランスのル・サロン会員や、モンマルトルの名誉市民として活躍できた原動力でした」と話されます。気候の良い時期や天気の良い日の活動は、もっぱら旅や街中でのスケッチ。行ったことのない街の駅で降りて、駅前のカフェに入り絵ハガキを2~3枚買い、飲み物を注文する。その間に絵ハガキの場所と行き方を聞き、そこへ行ってスケッチをする。街が気に入れば一週間くらい滞在し、毎日いつものカフェで食事や酒を飲み、馴染みになって色々と情報収集するのだそうです。「言葉もよく話せないし、治安も心配だから、店の人とのコミュニケーションで心配してもらう様な関係を作って、安心してスケッチに打込めるためにね。風景と対話できることには自信があったから。天気の悪い日は、売り物にならない花屋の花をもらって描いています。この頃には年間100枚くらい描いてましたね」と笑われます。
元来、黒が基調だった作品はフランス滞在を機に、明るい彩の街並みや華やかな装いに刺激を受け、淡く明るいトーンに変わりました。また油絵の色付けを水彩画の様に薄くしたり、具象画の中に風景がある様に色や形に変化を加え、写真とは違うけど誰が見ても解る様に、独自の世界観で描かれています。 5年前に帰国された池川さん。コロナウィルスが蔓延するまでは毎年フランス渡り、作品作りのためにパリで暮らされていました。現在はアトリエで創作活動をしながら、絵画教室をされています。「80才を超えた今、少しでも絵が好きになってもらいたいとの気持ちで教えています。さらにパリから持って帰ってきた作品を仕上げ、人生最後の展覧会を大々的にやりたいと考えています」と話されます。ドラマの様な人生を歩み、未だ情熱を忘れない、魅力たっぷりの池川さんに出会ってみませんか。

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