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【木工・彫刻家】 前野 陽一(まえの よういち)

今回は、彦根市新海浜町にお住まいの、竹工師の前野陽一さんをご紹介します。

種子島生まれの前野さんは子供の頃から魚釣りが大好きで、今も年に一回は屋久島をベースにトカラ列島へ釣りに行かれるほどの本格派です。ですから、浮も木や竹を使った自家製のオリジナル。ある日、河川や山に生える竹の処分に困っていると聞き、「竹は竹細工や篭編みとして利用されているけれど、木彫師や木地師といった木工加工の様な使われ方はしていない。木工加工の様に竹を加工できないだろうか」と考えられました。そして三年位前から「器を作ってみよう。木地師が作るものとは趣きが違うもの、陶器の様なものならできるのでは…、しかも火というエネルギーも使わないエコなもの」と、早速、木工好きの友人と二人で製作に取組まれます。最初は作品が割れたり、時間と共に変色したりと、乾燥や変色の対応に戸惑い、苦慮されました。「原料は無料でいくらでもあるけど、竹は柔らかいから細かな細工がなかなかできない」と、問題解決の研究を重ね、一定の竹の乾燥法や塗料の利用法を見つけられましたが、今でもその研究を続けておられます。

 

蓋には竹の目を菱形に組み合わせた象嵌(ゾウガン)細工を施したり、取っ手は継ぎ目を作らない様にと、仕上がりにこだわったコップ、カップ、湯呑、急須(キュウス)、皿と作品をたくさん作られました。しかし、それらだけでは物足らなかった前野さん。「何かできないか」と竹を何気なく削ったり、彫ったりしていると色々な形のものができました。それらを見ているうちに、新たな興味が湧いてきたと言われます。灯篭(トウロウ)作りの始まりです。

 

自宅脇にあるアトリエには、前野さんの作品がずらりと並んでいます。なかでも、灯篭は大きく、バネの様な目新しいデザインのモノ、叔父さんが笑っている様な愛嬌のあるモノ、屋久杉の工芸品の様に竹根を磨き出したモノなど、それは圧巻です。魚釣りに行かれる屋久島の友人の影響もあるのでしょうね。『竹姫灯篭』として意匠登録の取得をされたことも、前野さんの作品を見た屋久島の友人に勧められたからとか。灯篭の制作期間は2日で一台と意外に早いのですが、そのデザインを考えるのが大変だと言われます。デッサンや図面を書くことは一切無く、頭の中で考えたものを作っていかれるとか。竹の大きさや形も一定ではないため、二つと同じものはできないそうですよ。今は灯篭に張る紙に着目し、買ってもらった皆さんのオリジナルな灯篭となる様な工夫をされています。

 

前野さんの本職は、外溝工事なども手掛けられる左官工。職人の技と創造力で仕事を積極的になさっています。仕事のなかにも、灯篭作りのヒントがあるのでしょうね。皆さんのアイデアも作品にしてもらえますよ。工房は彦根市新海浜1丁目7-15です。

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