KIRARI MACHINOHITO

キラリ・まちの人

ふるさとに 
芸術・文化・伝統・風土を育む

【書道家】 野中 健二(のなか けんじ)

今回は、日野町上野田にお住まいの、水墨画家の野中健二さんをご紹介します。

野中さんは日野町で、気象観測の仕事をしておられます。気象観測と言っても、一体どんな仕事なのでしょう?降水・積雪量をはじめ、空から降るモノの計測や予想値の算定。それらに関わる機械・機器の販売をなさっているのです。

 

元来、筆を持つことが好きで、手紙や葉書は全て毛筆で書かれる程、書道にいそしまれていました野中さん。水墨画に魅了されたのは今から25年以上前、終生の師匠となる斉藤南北先生の”長良川沿線の旅”のスケッチ会にたまたま出向かれた時でした。書の話、筆や筆の使い方の話等、初めて出会いとは思えないほど意気投合されたそうです。それからというもの、毎月1回先生の下を訪ねられました。一度出向くと、1週間位は鞄持ちとして南北先生と共に行動されますから、大変な入れ込み様ですね。今では『野中南詢・なんじゅん』という画名を持たれ、年間10回程度の展覧会出展や教室での指導、日野町内の学校での課外授業と多忙な日々を過ごされています。また、南北墨画会理事・滋賀支部長や滋賀県水墨画会(会員数約150名)副会長と、地域の水墨画のリーダー的存在としてご活躍です。

 

絵を描くために前もって、自分が好きな所や感動したものをスケッチしておくのだそうですが…、描く時は構図を紙面にイメージして、下書きをせずに一気に勢いで水墨画を書き上げるそうです。ですから、早いものは10分程度、どんなに大作でも一日で仕上げられます。時間をかけ過ぎると、墨の色がつながらなくなるのだとか。水墨画を描く筆は、家畜や鳥獣という動物のもの主流ですが、竹やヨシという植物のものもあり、指や爪を使う場合もあります。まれにですが、木の枝を使うこともあるそうです。
お話を聞いているうちに、目の前でアッという間に、野中さんは和紙に竹や花を描かれました。淡墨で描いた上に、さらに濃墨で手を入れて立体感や遠近感を出す破墨と呼ばれる技法で、全体の趣を表されます。「書画同源と言うけれど、筆の使い方は書道とは全く違う」また、「同じ構図の作品を書いても、その日の気分や体調によって違うものになるんだ」と野中さんは話されます。デリケートなものですね。

 

野中さんは水墨画の普及にも、尽力を注いでおられます。団塊世代の人生の楽しみとして、自宅のアトリエや県内他3ヶ所(栗東・守山、信楽、近江八幡) の教室にて水墨画を教えておられます。また、次の世代にこの日本の美をつなげたいとの思いで、日野町内の小学校で書道の授業を利用して、水墨画を子供達に教えておられます。だるまの他、身近にある日野菜、サツマイモを題材に、席画(舞台で即興に絵を描く事)で水墨画の手本を作られます。子供たちの力作はなかなかの出来ばえ。皆さんとても楽しそうに水墨画に親しんでいるそうです。こんな授業、たくさんの学校で行われればいいですね。

 

野中さんが運営される南北墨画会・滋賀支部会員作品展が、3/4~7、3/10~14(9時~17時)に日野町立図書館にて、また、斉藤南北画伯の席画展が3/17~25(9時~17時)に日野町立わたむきホールにて開催されます。更に、5/26(13時より)日野町立わたむきホールにて、斉藤南北画伯の”講演と揮毫”が「生涯学習と水墨画」(大型紙で数枚揮毫)の演題で開催されます。いずれも参加無料。多種多様な作品が並んでいますから、是非一度、覗いて見て下さい。

Contact

お問合せ

■ 法人のお客様はこちら

0120-072-834

月〜金 9:00-18:00 定休:土日祝

■ 個人のお客様はこちら

0120-15-4939

9:00-18:00