KIRARI MACHINOHITO

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【書道家】 奈數 真理子(なす まりこ)

今回は東近江市小田苅町(旧湖東町)にお住いの書道家、奈數真理子さんをご紹介します。

「字が上手くなるようにと、画数の多い名前をつけてくれたり、小学校入学時に書道教室を探してくれたりと、書道とのご縁は全て両親が作ってくれました」と話される奈數さん。そのお陰で書道が好きになり、高校卒業までずっと書道部で活動されていました。高校時代に書道漬けの合宿で書いた作品が、岸和田市展に入賞する腕前になられました。仕事に就かれ、書道から少し離れられた時期がありましたが、昔習っていたお寺の書道教室を訪ねたことをきっかけに、再び書道を学ばれるようになられました。

 

結婚をされ滋賀県に嫁がれた奈數さんは、ある日、嫁ぎ先のお寺の檀家さんに「孫に習字を教えてもらえませんか」と懇願されました。それを期に、再び近隣の先生に習字を習われ、八日市市展に入賞されるまでになられました。その学ばれるなかで先生に「子供に書道を教えてもよいでしようか」とたずねられた奈數さんに、先生は「教えてあげたらどう。私が一緒に見てあげるから」と背中を押して下さったそうです。その後、境内の一角の小屋で、習字を教える日々が続きましたが、突然の不幸が奈數さんを襲います。風の強い春の日に、どこからとも無く飛んできた火種が、かや葺きの本堂の屋根に飛火し全焼したのです。

 

5年間の仮住まいの後に、檀家はじめ皆さんのご支援で本堂、庫裏、釣鐘堂が見事に完成し、落慶法要を迎えられました。その時にご主人から「この体験を忘れず、子々孫々に伝えるために、無心という言葉を玄関に飾りたいから書いてくれ」とお願いされました。行書ばかりに取組まれていましたから、大きな文字を書くのは初めてです。不安を胸に一心不乱で書いてみると、力強い勢いのある大作が出来たのです。奈數さんは「大きな字を書くことが好きなことに気づきました」と笑われます。それ以来、ご自宅を訪れられる皆様から「この字は味わいのある良い字ですね。是非とも私も書いて欲しい」とお願いされる機会が増え、大きな字をたくさん書くようになられました。「墨をすりながら、頭の中で葛藤しながらイメージする、その時が一番わくわくする時かな。

 

紙にむかい、無心になった瞬間に、息を止めて書き始めるんですよ。だんだん力強く良くなってきて、気がつけば百枚くらい書いています。その書き終わった時の達成感は、私の書道の醍醐味です」と話されます。これからも書道家として、そして指導者として活躍される奈數さんですが、今ちょっとした気分転換に始められたものが墨絵です。「墨が好きなんですよ。その墨で好きな金魚を遊びで描いてみたら、意外にいい感じになったの。

 

機会があれば、大きな紙に金魚を描いてみたいと思っています」と笑われます。最後に字が上手く書けるように、書道上達のポイントをお聞きすると「上達には、線、角、はらい、止め、そしてリズムという基本が第一です。集中して時間を忘れるくらい、何度もあきらめずに、繰り返し練習することですね」と話されます。なるほど、上達するには練習を楽しめることですね。奈數さんのご活躍をお祈りします。

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