KIRARI MACHINOHITO

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【彫刻・家具作家】 平尾 智子(ひらお ともこ)

今回は東近江市市辺町(旧八日市市)にお住まいの、オーダー家具・彫刻作家の平尾智子さんをご紹介します。

 

サクラ、ケヤキ、クスノキ、タブの広葉樹とスギ、ヒノキの針葉樹、しかも滋賀県産の材料にこだわって、木の家具『智』のブランドで家具や彫刻づくりをされています。大学で油絵を専攻され、卒業後、美術の教師をされていた平尾さんは、今から16年ほど前に「木を使ってものづくりの仕事がしたい」と思い、唯一一生の師と仰ぐ宮大工の棟梁の門を叩かれました。仕事が終わってからや休日に棟梁の元へ通い続けられました。その日々は「帰れ、やめろ、邪魔だ」と叱られながら掃除をしたり、棟梁の仕事をみたりの毎日でした。

 

「今もそうですが、大学を出た若者は自分が何もできないのに先輩の仕事を見習おうとしないし、教えてもらえると思っている。自分はできると思って、何にもできない自分に気づいていないんです。結局、4年かかって自分は何もできないと気づかせてもらいました」と平尾さんは話されます。「本気で習いたいと退路を断ったら、気持ちが楽になりました。同時にそれに気づくまで、そして学生時代までもが、もったいない時間を過ごした」と笑われます。宮大工の師匠に師事され、大工ではなく自分の身の丈に合った家具づくりを、仕事として選ばれました。家具づくりを教わるわけではなく、刃物の砥ぎ、木を尊ぶ心、木に無理をさせない工法を教わり、まな板と椅子を造られました。ある日、師匠が「椅子が造れたら机は造れる。だからお客様を取ってこい。これからはお客様に教えてもらえ、お客様が厳しい先生になる」と言われたのです。基礎ができたら、より厳しい環境でプレッシャーを感じて、誠心誠意、良いモノを提供したいと一生懸命仕事に取組めば、一人前の職人になるということなんでしょうね。平尾さんの創作活動は、まず木と向き合うことです。

 

木の形や木目を見ながら、家具なのか?彫刻なのか?クセのある木は家具よりも彫刻に向いているから、無駄使いをしない様にと、構図や題材を考えられます。「彫刻はもともと好きだったけど、家具づくりをしていたら、なんとなく始めていたんです」と話されます。題材は本物を見る、見たものをスケッチするという実写スタイル。万力に挟んだり、手のひらの中で彫ったり、目を輝かせて作品づくりに取り組まれます。このランチュウの作品は、長浜別院大通寺の欄間を見てひらめいたそうです。彫刻は少しの造りおきはあるものの、家具同様オーダーばかりです。

お客様のご紹介や「家具を造っているのなら、こんなのできる?」と会話の中から注文依頼が来ます。お話を聞きながらスケッチを描いてプレゼン、打合せというスタイル。

「スケッチだけでは、お互いの確認ができないので」と後日、図面を書いて再確認すれば契約完了です。現在も目一杯のオーダーに「毎日する事が一杯で、時間が欲しい」と平尾さん。それでも年間2回の展示会は、欠かさず開催されています。最後に、平尾さんの夢をお聞きすると…。「目の前にあるものを、好きか嫌いかでボンヤリ見分ける生き方をしてきたので…」と話されますが、木の家具『智』のHPに”切られた木は使われ方一つで、生きも死にもする。木を生かし家具になった木とそれを使う人の手助けができたら”これが平尾さんの夢であり、ポリシーなんでしょうね。

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