KIRARI MACHINOHITO

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【ジュエル・アクセサリー】 森野 清貴(もりの きよたか)

今回は東近江市五個荘金堂町にお住まいの、森野清貴さんをご紹介します。

学校卒業後、地域の保守的な雰囲気に反発し、自分探しに迷宮入りしていた森野さん。24才で一念発起し、新天地を求めて日本を脱出されました。「当時、英語圏でまだ馴染みがない所をと…、選択肢はカナダかオーストラリア。寒いのが嫌なんでオーストラリアに決めたんです。英語ができたわけでもないし、そこで何をするって事もなかったし。しいて言うなら、オパールに興味があったとでも。」と森野さん。何と大胆な!凄い人ですね。ビザの関係で働くこともままならず3ヵ月が過ぎた頃、国の政策転換で運良く永住権を取得することができたそうです。そして政府の支援で、英語学校で3ヶ月間学び、その後、ハローワークのような所で失業保険の手続きまでしてもらえたそうです。

 

 

その期間にシルバー・スミスと言われる、銀の板を叩いて器を造る職人の作品にひかれ、教えてくれる人を探し始められました。そしてオランダ人のヘックラン氏と運命の出会いが…。アルバイトで生活費を稼ぎながら、3年間シルバー・スミスの技法を習われましたが「中途半端ではダメだ」と、シルバー・スミスになるためだけに専念されました。その間、生活費のために我流で造ったアクセサリーが、森野さんの運命を大きく変えました。アクセサリーは口コミで売れたのです。知り合いのお店に置いたり、お店から依頼されて作品を提供したり、お店の専属ジュエラーとなって、お客様のオリジナルデザインや、材料も銀だけでなく、金、オパール、ダイヤも使ったジュエリーを1000品以上も制作されました。ゴールド&シルバー・スミス『TAKA』のデザインブランドが確立された瞬間です。「好きでやりたい事は若いうちにやる方が良い。それしかないから一生懸命やれるし、好きで楽しんで、やり続けたから生活ができ、人間的にも成長できたと思う。」と森野さんは振り返られます。

 

4年前、約30年振りに帰国された森野さんは「老いた両親の事が心配で帰ってきたが、生まれ育った場所はオーストラリアとは違って、気候も文化も人も何もかもが穏やか。落ち着くべき所に、魂が帰ってきたという感じかな」と田舎暮らしを楽しんでおられます。今は銀とすす竹を素材に、新しい作風の制作に励まれています。創作活動は工房のワークベンチに限るそうです。「煙草を吸ってても、お茶を飲んでてもいいんです。ここに座っていたら雑念を取り去り、形に表現したいと集中して没頭できるんです。瞑想にも似た感覚でとても気持ち良くて、声が聞こえるというか、アイディアが湧いてくるんです。毎日ここに座ってこれをしないと、フラストレーションがたまるんです。」と話されます。頭の中でデザインされたアイディアは、現寸でラフスケッチをして形を決定します。バランスがデザインのポイント、後はイメージと気分で制作されます。集中した制作工程は6時間が限界とか。「今では目が見えないから作品が大きくなって、その上、2時間位しか集中できないんです」と森野さん。銀とすす竹の創作スタイル確立と、モノづくりが好きな人をふやすシルバー・スミスの普及活動が、今の森野さんの夢です。オーストラリアの教室で教えていた経験を活かして、4人の生徒さんを自宅工房でアクセサリーや思い思いのモノづくりを指導されています。五個荘金堂地区が彫金クラフトの街になればいいですね。

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