KIRARI MACHINOHITO

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【工芸家】 田中 正雄(たなか まさお)

今回は彦根市上岡部町にお住いの工芸家の田中正雄さんをご紹介します。

建具職人だった田中さんは、24年前にたまたまもらった種を育て、持ち前の技量でひょうたん細工を楽しんでおられました。早速、地元の品評会に出展すると特別賞を受賞。

 

自信がついた田中さんは愛瓢会に入会。各地の展示会に次々と出展され、あらゆる賞を受賞され続けます。「細かい仕事が好きやから、ひょうたんの加工は面白くて、これが天職だと魅了された」と話されます。

 

工芸細工もさることながら、苗から育てるひょうたんは害虫対策と病気に要注意と、土台のひょうたんの育成も大変。

 

「朝晩様子を見に行かないと、虫がちょっと歩くだけで色が変わるんや。なかなか手間がかかるけど、土台作りが大事やからな」と笑顔の田中さん。

 

形を変えるために、四角や平たくするために型枠をはめて育てられることもあります。

 

中身の種・綿の除去や消臭のために何回も水に漬け、ようやく加工工程に入ります。大きさはミニ・千成・百成・十成・大瓢・大瓢エースと大きくなります。ちなみに理想のひょうたんの形は、直径が上から5:3:7だそうです。

 

いよいよ創作活動。写真の『瓢芸術大賞』の作品で、3ヶ月程かかります。特に金箔押や貝殻の貼付けなど、細かく繊細な作業は毎日2時間が限界だとか。「図案とアイディアを練る創造力が大事やな。

 

変わったもの、人のやってないものを作るために、いつでもどこへ行ってもヒントを探している。寝てても考えてるで」と笑われます。漆塗りに金箔や貝殻で絵を描いたり、マーブル模様やひび割れ模様、星や丸の形抜きの内部にライトを入れた物など、工芸品にとどまらず実用的に使える物まで「皆を喜ばせたい」と田中さん発想力は無限です。

 

2008年には全日本愛瓢会の最高位『玉勲名人』になられ、名誉総裁の秋篠宮殿下に作品も献上されました。2010年から本会の理事や滋賀県支部長として工芸製作にとどまらず、会員の指導やひょうたんの輪を広げるという活動を続けられています。

 

稲枝北小学校では18年前から、滋賀県立大学でも3年前から、ひょうたんの育成から製作までの指導をされています。

 

「子供や学生に苗を植えさせて育てさせる。観察しながら育てたひょうたんには、愛着の心が芽生え、それを加工・製作した喜びとあいまって、ひょうたんは宝物になるんや」と成果を話されます。

 

全国でも屈指のひょうたんアートの拠点となっている田中工房では、県愛瓢会(会員数約100人)の会員20人が、毎週ここに集い、ひょうたんについて語り、技術を習得しています。近隣の公共施設で年間2回、40人程度の一般の人向きの教室も開催されています。

 

再来年2019年には、滋賀県彦根市で全日本愛瓢会の全国大会開催が決まり、製作に、指導に、会の運営にと各地を忙しく回られている田中さん。秋篠宮殿下の「ひょうたんの輪を広げていって下さいね」というお言葉を胸に、益々精力的に活動され続け、ひょうたん道を極められることでしょう。

 

是非一度、田中工房を訪問してみて下さい。

 

田中工房
〒521-1103 彦根市上岡部町436
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