KIRARI MACHINOHITO

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【島学区まちづくり協議会職員】重久 絹子(しげひさ きぬこ)

 今回は近江八幡市の島学区まちづくり協議会にお勤めの、重久絹子さんをご紹介します。
「近江八幡の火祭り」ってご存じですか。現在まで市内で大小約200基の松明が結われ、各集落の神社で奉火される在郷全域の火祭りです。この特有のお祭りの伝統的な取組みが、国選択無形民俗文化財にも登録されています。しかし近年、結い手の高齢化や後継者不足など、松明結いの文化をいかに後世に残すかが各集落共通の課題となっています。そこで、伝統的な松明結いを近江八幡のシンボルとして広め、持続可能なものにするために、未だ参画していない集落の参加呼びかけと松明結に携わったことのない新たな人たちを巻込むことを目的として、10年前から集落や世代を超えた交流の場「たいまつフェス」が開催されました。重久さんはまちづくり会社まっせにお勤めになって「たいまつフェス」に携わられたことをきっかけに、伝統的な松明づくりの魅力に魅せられた、新たな担い手となられた一人なのです。「松明は全て自然の物でできていて、焼け落ちた後は土に還り、堆肥として次の生育を助けますから、SDGsなどで目指す循環型社会の手本となります。また収穫に左右されたり、思う様な形に作ることも難しかったりと、自分の思いのままにならない難しさが楽しみなんですよ」と松明づくりの魅力を話されます。
その後、市内全域から松明保存継承に熱心な松明結の担い手たちを集めて「文化遺産としての松明を次世代へ贈る会」(保存活動団体)設立の際、事務局として重久さんも参画されました。重久さんの想いは「地域に大切なものとして松明やしめ縄を定着させていくこと」です。

職場では地域の子供たちを対象に、手づくりしめ縄やほんがら松明づくりの教室を、松明を次世代へ贈る会の指導のもと、昔ながらの手づくりを体験するワークショップを、コミュニテーセンターや小学校で開催されています。「青田刈りのモチ藁を使って、伝統的なお正月飾りのしめ縄を作ってもらうんです。皆さん苦労されていましたが、親子で協力しあい来年も良い年で、家族が健康であります様にと願いを込めながら完成されました。どの皆さんも、始めた時より心の距離が近づいた様に感じました」と笑われます。
島小学校では、4年生児童たちがヨシ、菜種ガラ、藁、竹などを使ったほんがら松明の製作をしました。ほんがら松明とは、芯となる竹を組んで中を空洞にしたもので、底から火を入れると炎が燃え上がって、松明の頭頂部の御幣にいち早く火が付く、まるでろうそくのように燃える松明です。この松明は地域のお祭りの主役。島学区に暮らす人々にとっても大切なものだからこそ、子供たちに作る楽しさを伝えたいと企画されました。講師がまず、子供たちにお手本を見せると、自然の材料だけで作られる松明が、人の技術と知恵で新しい命を吹きこまれていく様子に目を輝かせます。
講師の教えに見よう見まねで覚えて行く子供たち。材料に触れ、肌でたくさんのものを感じ取りながら、次の世代に伝統は受け継がれていきます。重久さんは「松明を結うことは、お祭りを知ること。そしてそれは近江八幡を知ることなんですよ。
普段見られないことに触れたり、知らない歴史を学んだり、地域の人と関わったり、松明結うことで毎年新らしい気付きが生まれるんです。それだから面白いんですよ」と話されます。
最後に「松明は結う、縄は綯うといいます。結うの文字通り、皆と協力して初めて松明は出来上がるもので、一人でできるものではありません。今後も地域の皆さんとつながりながら、近江八幡の伝統松明を守り育てて行きたいですね」と熱い思いを聞かせてもらいました。
伝統松明の火、守り続けて欲しいですね。

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