KIRARI MACHINOHITO

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【人形・工芸家】 辻 みよ子(つじ みよこ)

今回は愛荘町東円堂(旧愛知川町)にお住まいの『愛知川びん細工手まり保存会』会長の辻みよ子さんをご紹介します。

 

”びん細工手まり“ってご存知ですか?古くから愛知川地区に伝わる伝統工芸品で、美しい手まりがガラスびんの中に「なんでだろー?」って思うほどぴったりとフィットして入っている、とっても不思議な工芸品です。”びん細工手まり“は個人が秘伝として作られていたため、その歴史や伝承方法は謎めいています。しかし、江戸時代末期に嫁入り道具として、持参されたものが愛荘町に伝えられています。“びん細工手まり”を伝承していた最後の一人が他界されたのを期に、この技術が消えてしまうことを惜しまれ皆さんが『愛知川びん細工手まり保存会』を37年前に設立されました。辻さんはその時のメンバー19名の一人だそうです。

 

昔作られた”びん細工手まり“は豆や籾殻を中に入れ、毛糸や糸を巻いてその上に刺繍を施す作り方をされていたそうですが、中に入れたものを綿への詰め替え作業や手まりの整形に時間と手間がかかることから、数々の改良を重ねられました。そして今では、取り出しやすいように芯材はさらしを丸めることに、和紙を使って刺繍糸の深さの目安が解り易いようにと、制作難度と時間を軽減して誰にでも取組み易いようになったそうです。手まりの柄も同じで、色を変える程度の違いだったデザインなのですが、辻さんたちが身の回りのものをヒントに、新しい手まりの柄を作っていかれました。「手まりの本を参考にすることもあります。作り方が書いていないものに挑戦するのが面白いんです」と話されます。「作り方が書いてないから、それに挑戦するのが面白いんです。

先日も手まりの刺繍の方法を、毎日ずっと考えてました。そうしたら夜中にひらめいて、早速朝から取組んでみたらできたの!それはもう嬉しくて、皆に教えてあげた。こんなことがあるから、作っても作ってもまた作りたくなるの」と満面の笑みで話される辻さん。その大切な作品を、今回私にいただきました。どうですか?この手まり。大感激です! ”びん細工手まり“は、作り方は長年公開されませんでした。これには「作りたいのなら保存会に入ってもらいたいんです。誰にでも作れたら一過性で廃れるでしょ。会費無料の保存会で楽しみながら、宝物として作ってもらいたいんですよ。地域にある誇れるものだから守っていきたい」という、辻さんたちの強い郷土愛があったからです。しかし近年は、観光協会の主催する『ふるさと体験塾』、愛知中学校の体験学習や小学校での卒業記念品制作の場で、保存会の皆さんが制作指導をされるようになりました。「針を持ったことのない人が多くなりましたが、モノ作りが好きな人なら、針の使い方がわからない人でもできるよ。こないだも若い娘が、滋賀ふるさと観光大使の西川貴教さんにあげるって、一所懸命作ってたんですよ」と辻さん。手まりの柄も今では、キャラクターや洋物のオリジナルデザインもたくさんあるようです。

 

これからの季節なら、クリスマス物がいいですね。ただし、手まりのびんは市場では手に入りませんから、作りたいと思われる皆さんは、『ふるさと体験塾』に参加して下さいね。

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