KIRARI MACHINOHITO

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岡 奈系香(おか なつこ)さん

今回は東近江市佐野町(旧能登川町)にお住いの、岡奈系香さんをご紹介します。

大阪にお住まいされていた頃に、近くの神社から「浪速神楽やってみませんか」とお誘いがあり、練習に参加したことが横笛を吹くきっかけとなりました。「その場で与えられた篠笛を吹いたら、一発で良い音が出たんです。その後、龍笛も直ぐに音が出て、私と横笛は相性がいいんだと感じたんですよ」と笑われます。

 

実は岡さんは、子供の頃に子供の頃に厳しい指導についていけず、ピアノや五線譜アレルギーとなり音楽への関わりを避けておられたらしいのです。すぐ吹けた篠笛の音、暗号の様な譜面、呪文の様な口伝の口唱歌が五線譜アレルギーを取り払ったようです。神楽演奏を始めてしばらくすると、雅楽の奏楽への誘いがありました。演奏の録音テープと譜面をもらい、独学の我流で練習を重ねられましたが。「折角の機会だから正式に習って学びたいと思い、京都の雅楽会に入会し、本格的に3年間の指導を受け、雅楽の奏楽について学んだんです」と話されます。

 

雅楽には管楽器(笙、篳篥、龍笛)、絃楽器(琵琶、筝)、打楽器(括弧、太鼓、鉦鼓)をオーケストラの様に演奏する管絃と、舞踏と音楽からなる舞楽の2種類があります。江戸時代までは皇族や貴族の家系である、6つの楽家が雅楽に携わる世襲職でしたが、明治時代から一般の人にも門戸を開かれました。しかし、皇室の儀式や宮中晩餐会、国際親善行事など皇室と関りが大きいため、今でも楽師として雅楽の指導者となるには、宮内庁の式部職楽部(予科・本科・楽生科)で雅楽を学ばねばなりません。その指導者の一人である芝祐靖さんに教えを請いたいと、憧れられていた岡さん。

 

知人の紹介で、京都の『音輪会』を訪ねられました。雅楽を追求する奏者が集うこの会では、雅楽の精神や響きを厳しく教わり、日本の伝統音楽を積極的に発信・伝えるための定期演奏会や、雅楽教室の開催をされています。芝祐靖さんはこの会で龍笛の講師と共に、音楽監督をされていました。「見学に行った定期演奏会の芝先生の講習会で、退吹き(おめりぶき)がわからず吹けなくて、その後入会して猛特訓して定期演奏会の舞台で再挑戦させてもらったんです」と岡さん。その後10年間『音輪会』で、みっちりと雅楽を学び、楽しまれました。

 

雅楽の楽しみは何といっても、特別な場所や人に出会える貴重な経験ができること。「今上天皇陛下が御一代に一度の大嘗祭にあわせて神社で斎行される大嘗祭当日祭の祭典楽のご奉仕や、歴史的に続けられている様々に伝統行事、国際親善行事などに参加させてもらえるんですよ。仕事なんですけど仕事以上の楽しみや喜びが一杯です」と笑われます。今でも京都で行われる行事には、奏者としてご奉仕されています。

 

宇宙を表している神秘的で懐かしい音色の雅楽を、20年前から乎加(おか)神社ゆかりの鯰にちなみ『横笛琵琶湖お鯰様倶楽部』として、篠笛を教えられてる岡さん。最近では、オリジナル曲やアレンジした雅楽古典曲などを龍笛や笙と和太鼓や筝で演奏したり語り、歌や舞で近江の昔話や創作物語を披露する『和楽器unit月の舟』として自由な活動を始めています。千年以上前の人が聞いた音色を、唯一今、聞ける音として皆さんに聞かせたいと、これからも地域の様々なところで演奏されることでしょう。是非一度、神秘的で懐かしい演奏を聞いてみませんか。

 

 

202438日開催 ロビーコンサート「邦楽の昼下がり」現代邦楽作曲家 高槻鐘三 5回作品コンサート。岡さんの篠笛と筝と胡弓とのコンサートです。

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