KIRARI MACHINOHITO

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【音楽】 城 奈緒美 さん

今回は近江八幡市安土町のオルガニスト、城奈緒美さんをご紹介します。 

戦国時代、16世紀にイエズス会の宣教師たちが、日本へ渡って来た際に西洋音楽を持込み、安土のセミナリヨで日本人の少年達に器楽を教えました。その日本のオルガン伝来地で、城さんは“安土文芸セミナリヨ”の専属オルガニストとして活動されています。3才でピアノを、9才からフルートを学ばれ、大学の音楽学科に進学された城さん。

 

入学式で演奏されたパイプオルガンの音色は、ピアノとフルートを合わせたようだけど、違う魅力的な息づかいに魅了されました。ピアノではなくオルガンを専攻され、初めての授業で本物のパイプオルガンに触れられた時は「弾いた時の体験したことのない想像を超えた音に、心が震えるくらい感動しました」と振り返られます。2000年も前からあるパイプオルガンは、ヨーロッパ各国で独自の音や型のオルガンスタイルがあります。楽器の王様と呼ばれ、すべての楽器の中で一番高い音、一番低い音、一番大きな音を出せることがパイプオルガンの最大の魅力。両手10本の指と両足のつま先とかかとをフルに使っての演奏は、慣れるまで一苦労だとか…。

 

文芸セミナリヨのパイプオルガンには、三段の手鍵盤、左右のストップレバー、足元に足鍵盤、コンビネーションペダル、スエルペダルがありますが、楽器によって様式の違いで操作が変わることなども、パイプオルガンならではの苦労もあるそうです。更に難しいのが残響音のコントロール。パイプオルガンはパイプの組み合わせによって色彩豊かで独特な音色を創り出すことができますが、ホールそのものも楽器。会場によって、残響音の加わり方で、表現方法がずいぶん変わるため、客席で聴くとどんな音になるか想像しながら弾くのが、パイプオルガンの難しさなのです。

 

城さんは96年から旧安土町の専属オルガニストとして勤務され、安土文芸セミナリヨが企画する催し物で演奏活動をされていましたが、会館規定が厳しく稼働率はわずかでした。全国のホールの多くで、飾りになっているパイプオルガンの現状を憂い、このホールで音が出る時間を少しでも多くつくりたいと、色々な取組みをされました。なかでも『お出かけ演奏会』は地域の小学校を回り、持ち運びできるポルタティーフオルガンで、パイプオルガンの音色や楽しさを体験できる機会を提供できました。また、この場所に来てもらわないと演奏できないパイプオルガンに会いに来てもらおうと、文芸セミナリヨが開講するオルガン教室で指導され、すでに19期生を送り出しています。田舎のオルガンは、プロが公演する機会が少なく空き時間が多いため、それを逆手にとってパイプオルガンを開放し、3年間のカリキュラムで、楽器に興味のある方が身近に学べる内容の充実したオルガン教室で、日々熱心に指導にあたっておられます。「中学生以上の皆さんがより気軽に参加できる様に、オーディションではなく熱意を感じられる小論文で生徒さんを選んでいるんですよ」と城さんは話されます。

 

13~80才まで180名余りのオルガニストが、今では演奏会の企画やサークルの交流活動を精力的にされ、人生の楽しみを味わっておられます。

 

「いつの日にか世界の第一人者に安土のパイプオルガンを弾いてもらい、その音色を地域の皆さんと一緒に聴いてみたいですね」と城さん。パイプオルガンの音は電子音では再現不可能なうえ、ホールの場所によっても音が変わります。是非一度、安土文芸セミナリヨでパイプオルガンの世界を体験して下さい。

 

4月からの第20期オルガン教室も募集中です。

 

文芸セミナリヨ
http://bungei.or.jp/index.php?id=23

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