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【陶芸家】 奥川 ユウジ(おくかわ ゆうじ)

今回は東近江市建部北町に工房を構えておられる、陶芸家の奥川ユウジさんをご紹介します。 

信楽高校デザイン科で学ばれた奥川さんは、京都でテキスタイルデザインの会社に入社されました。大きな布を作ったり、数日かけて一つの色を出したりと、原図や配色の企画・設計の仕事をされていましたが、不運にも勤め先の業績不振だったために退社。

 

その後、写真やデザインの仕事を幅広く手掛けられました。信楽でショップをされていた頃に、粉引きの陶器の茶碗を見て「やってみたい」と思われたそうです。「高校時代は陶芸科があっても、陶器にまったく興味がなかったんです。それが不思議なもので、こんなに魅力的で面白いものがあるんやと、この時は思ったんです」と話されます。陶芸家の中根さんとの出会いも絶妙のタイミングでした。すぐにアシスタントとして、陶芸を学ぶことになりました。

 

1992年、いよいよ独立されます。オブジェなど大きな作品を作りたいと、立派な窯も工房に設置され、いよいよ創作活動が始まります。「自分の粉引きはと、頭で考えても上手くいかないんで、ともかくやってみました。やっていると新しい発見や発想が生まれるもんで、粉引きの上に線刻とベタで赤絵を描いたんです。柏薬だけの伝統的なモノだけでなく、空間にデザインする様に赤絵を描くことで、新しい作風が出来たんですよ」と奥川さん。『赤の奥川』の誕生です。

 

秋から春まで創作活動に没頭し、春から秋にかけてクラフト展やイベント会場を回り、個展やグループ展を開催するという時代が続きます。「良い時代には大作も作れたんですが、結局、一握りの私の作風を好きな人にしか売れないんですよ。お金を貯めて物を買うんじゃなくて、買える範囲で欲しいモノを買うって感じですかね」と奥川さんは言われます。

 

物の買い方や美的センスが変わったと感じた奥川さんは、物語のある物を作ろうと考えられるようになります。物語のある小物や欲しいと感じる物を創作し、使う人がどんな物語を想像し、暮らしの中でどう感じ、楽しんでもらえるか、そんな「愉しく毎日を過ごす」をテーマに創作活動を始められます。赤絵・象嵌(ぞうがん)・線刻などの手法でマグカップ、茶碗、鉢などの器を作られ、更に、赤絵の粉引きから離れ、粉引きに貫入を交えた残雪と呼んでおられる作品。墨絵も手掛けられることにもなりました。「赤ばかりだと自分でも飽きて、違う物をやりたくなるんです。

 

個展を機会に、前からやりたいと思っていたモノに挑戦する。でもまた戻る。この繰り返しで、新しい赤が生まれるんですよ」と話されます。

 

これからも日々の暮らしを楽しいと感じ、良い時間を過ごして欲しいと、奥川さんの創作活動は円熟味を出し、深みと高みを追求され続けられます。奥川さんの作品、是非一度ご覧下さい。

 

ファクトリー空(くう) 奥川祐二
http://www.t-craft.com/coo/

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