KIRARI MACHINOHITO

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【木工・彫刻家】 福永 和明(ふくなが かずあき)

今回は、東近江市新宮町(旧能登川)にお住まいの、フィッシュ・クラフト作家の福永和明さんをご紹介します。

山岳登山やカヌーなどアウトドア・スポーツの大好きな福永さんは、八年前に知人と山岳渓流釣りに行き、ドライフライ・フィッシングに出会われました。水面に流れる餌を食べる魚を、フライと呼ばれる昆虫の疑似餌で釣り上げるドライフライ・フィッシングは、魚が食いつく瞬間がとても刺激的だと言われています。福永さんはその時釣った魚を見て「水族館や〆た時の魚の色とは全く違う。本当に綺麗だ」と感動されたそうです。写真でしか見せられない美しさ、その時から「この感動をみんなに体験してもらえないだろうか」とフィッシュ・クラフトの種が芽生えたのです。「人に教えてもらったら一番にはなれないけれど、独学でなら…」と考え、平面のイラストではなく、質感も感じてもらえる立体の魚の複製に福永さんは挑戦されました。ノコギリで形取りをしてから彫っていく作業は「彫るというより、削るっていう感じ」と福永さん。

 

 

全体を彩色して、本物そっくりの模型を作るカービングと違い、半身の魚を台紙に着色を施して一体感を出す作風でしたが、「これでは躍動感がない」と、姿を起こした魚をデザインされるようになりました。「本本当に魚はこんな色をしているのですか」と尋ねると、「同じ川でも住む場所毎の水や石の色によって、また川のある地方によって同じ魚でも色が違います。もし、自分が勝手に違う色を塗っているのなら、依頼主の釣り人達は作品を評価しないでしょう」と説得力のあるご返答ですね。「作品が出来てくると、見せたくなるでしょ」創作を始めたその年に、福永さんは八日市図書館で作品展を開かれたのです。二年後から、福永さんはブログを通して渓流釣りやドライフライの楽しさ、魚の美しさに魅せられて造るフィッシュ・クラフトが、釣師として一生涯の思い出を語れるものにして欲しいとの思いを伝えられました。

 

 

それ以来、福永さんはブログを通して数多くの釣り人と知り合われ、「いつか大きいのを釣った時には頼むな」と作品依頼をされるそうです。釣り人の記念写真や剥製(はくせい)や魚拓みたいな役割をしてるんですね。「顔を見たことも、出会ったこともない人からオーダーが来るんですよ。本当にいいの?ってビックリです」と福永さん。フィッシュ・クラフトを始められて七年が過ぎ、作品数は四十体を超えました。手元には五〜六体残っている程度ですが、福永さんはちょっと変わった依頼者との約束をされていますから、これでも作品展を開催できるんです。その約束とは、釣った魚の場所やサイズが確かなこと、気に入らなければキャンセルできること、作品展をする際には作品を展示品として提供してくれることの三つの約束です。「何回も同じものを造りたくないし、作った作品は出来れば手元に置いておきたいでしょ」と。驚くことに作品展には喜んで作品を提供してもらえるそうです。「だって自分の名前、日付、釣った場所、大きさ、釣り人のコメントを作品の横に掲示するんですから、釣り人にとっては大小に関わらず思い入れのある魚なんです。自慢したいから、皆さん喜んで貸してくれますよ」と福永さんは笑われます。

 

 

今年は精力的に作品展を開催される福永さん。特に長野県のモンベル諏訪店での作品展は、フィッシュ・クラフトと写真と書の異色のコラボ開催を予定されています。ちょっと遠いですが、ドライブがてらに覗いてみて下されば如何でしょう。フィッシュ・クラフトの作品は、福永さんのブログに掲載されています。是非、ご覧下さい。

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