ふるさとに
芸術・文化・伝統・風土を育む
パンや料理教室と見ていると…、カービングを発見!!!
見たこともなく珍しさから「やりたい」とすぐに思われたとか。「子供の頃から美術が一番得意で、絵を描いたり、彫刻刀で彫ったりが好きでしたね」と話されます。あれから10年、カービングに魅せられ、夢中になって取組まれました。
カービングはタイ王宮料理の『飾り付け』『おもてなし』として、専用のカービングナイフ一本で彫り上げるというタイの伝統工芸で、その起源はスコータイ時代ともアユタヤ時代とも言われ、700年に亘る歴史があります。フルーツや野菜だけでなく芸術として保存できる石鹸に、植物や動物をモチーフとしたタイの伝統的なデザインを施されます。
そして5年前に「この楽しさを伝えたい」とカービング教室を始められたのです。関東地方にカービングの教室が多く、関西でも都市部にはありますが滋賀には少ないようで、湖西・湖北地区という遠いところからも生徒さんが来られています。集中力の限界がありますので1レッスン2時間で、カービング専用石鹸一個で一作品をつくるプログラムとなっているそうです。
「切り出し」と呼ばれる石鹸一つで花を作る作風は、それぞれの作品を花木の道具や針金などを使って一つのものとして仕上げられます。「レリーフ」と言われる作風は、石鹸一つひとつ完結した作品を集め、複数の作品を一つの額に飾り作品として展示されます。カービングソープの制作時間は2~12時間、フルーツカービングは2~10時間で完成できます。
カービングの醍醐味を生徒さんに聞かせてもらうと「制作している時間はとても集中できるので頭の中が無になり、心配事や日常の煩わしさから解放されること」と言われるそうです。日常生活から解放される事が皆さんのお望みなんですね。タイではカービングに取組む人の大半が男性なのに対して、日本では女性が多く「バラが彫りたい」と来られる女性が多いとのことです。女性のバラ人気を実感しますね。料理人の強みとしてカービングを取得する人も、アートとして取組む人も、趣味のライフワークとして取組む人も様々ですが、カービングを教える講師としての免許を取得するためには、どの素材についても最低100時間の講習を受けてから挑戦してもらっているそうです。しかし、取組をしたから必ず免許を取得できるというものではないそうですよ。
カービングナイフ一本で着手できる手頃なモノですが、趣味を芸術とするには何事も高い関門であるには違いないようです。ともかく、それをすることを好きになる。楽しむことが一番のようですね。木下さんは今でもタイにカービング留学に行ったり、発表会を開催したりと、趣味の延長に楽しみながら取組まれています。「好きこそモノの上手なれ」を地で行っておられる木下さん、カービングの愛に溢れておられますね。是非一度、のぞいてみて下さい。