KIRARI MACHINOHITO

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【アイアンクラフト】 古道 末吉(ふるみち すえきち)

今回は日野町杉にお住まいの、メタルデザイナーの古道末吉さんをご紹介します。

長年、建設工事関係の溶接工を京都でされていた古道さん。当時から仕事の傍らの遊びで、鉄筋を切断、曲げ、溶接して作品を作られていたそうです。ご結婚を機に滋賀に引っ越され、現在の住まいで働きながら「こういうモノ作ったら楽しいかな」と作品づくりを続けられていましたが、職場の経営不振で退職、本格的に作家として活動を始められることになりました。当時を振り返り「異形鉄筋が好きで、道具があったからやったみたいなもの」と話されます。クラフト展に出展されたこともあるそうですが、作家さんとの交流を楽しみに、ご夫婦で旅行気分で行かれていたとか。「セールスはしないけど、頭の中に浮かんだモノは作りたい。だから、今も自宅は作品で一杯」だとか。転機が訪れたのはそれからしばらく、日野町産業フェアに出展した椅子が売れたのです。

 

「1万円位だったけど、持って帰ってもらうには重いから」と、古道さんは和歌山と福井のお客様宅へ、わざわざご自分で納品されたそうです。鉄筋コンクリートの材料の異型鉄筋、土木・建築工事の縁の下の力持ちの黒子が、華やかな場でオブジェや家具になるなんて…、建設に携わる私は感激です。

 

日常は建築工事の製作金物・金属建具など、建築家や建築施工会社からの注文製作をされながら、オリジナルの創作活動をされています。縛られる事が嫌いで始めた作家としての創作活動は、「苦しいけれど、楽しい方が多い」とか、また「芸術の学校を出たわけでもないし、頭の中で考えたり、ひらめいたモノを図面もなしに作るのだから、買ってもらえない、作品として認めてもらえないと思っていたから…。今思うと、もっと早くやっていたらよかった」と古道さんは話されます。

 

今回、ご自宅の工房を離れ、3月1日から近江八幡の尾賀商店さんの一角に、少しでも多くの皆さんに鉄とふれあう体験・体感をしてもらう場としてBOND—YARD を開設されました。手間暇がかからないもの好み、ものづくりに興味がない人が多いことに、「今の日本人は、お金を出せば何でも買えると思っている。親であった私達の世代が甘やかし過ぎた。そんな人達に、ものづくりに興味を持ってもらいたい」と、古道さんは話されます。オープンしてみると、溶接を習いたいと反響が大きく、若者達が自分の作品を作りたいと集ってくるそうです。スクラップを材料に利用して、溶接・切断・曲げを体験します。鉄は錆びるものと思い込んでいた若者達に、錆びないようにメンテナンスをする方法や、鉄の特性を教えたりすると、若者たちの目や顔つきが変わってくるのがハッキリ判るそうです。

 

古道さんは「皆でわいわい集まって作りたいものをつくる、作りたい人が集まり、楽しんでものづくりをしてもらえる場になったらそれでいい」と今後の夢を話されます。建設用の異形鉄筋をはじめ、あるゆる金属を活かした、若いメタルデザイナーたくさん育つといいですね。

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