KIRARI MACHINOHITO

キラリ・まちの人

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平出 智子(ひらで ともこ)さん

今回は東近江市建部(旧八日市市)にお住いの音楽家で、チェンバロ演奏者の平出智子さんをご紹介します。

 

チェンバロは弦をはじいて音を出す撥弦・鍵盤楽器です。中世のイタリアで発展し、バッハやヴィヴァルディが活躍した 17~18 世紀のバロック時代に、ヨーロッパ全土で盛んに使われました。ピアノに似ているのでピアノの原型と言われることがありますが、成り立ちや原理、音色も全く違う、似て非なる物なのです。 王侯貴族や上流階級のサロンや邸宅などで演奏されていました。平出さんはこの音色に魅せられたのでした。

 

ご両親がクラッシック音楽がお好きで、お父さんが集められたレコードがたくさんあったと振返られる平出さんは、4 歳からピアノを習い始められました。ある年のクリスマスプレゼントに、カラヤンが指揮する「くるみ割り人形」の LP をもらい、今も大切にされていると言われます。八日市文化芸術会館が落成した年に、平出さんは初めてお父さんとクラッシックコンサートに行かれました。以来ご両親とよくコンサートに行かれ、クラッシック音楽を楽しまれたそうです。高校卒業後は広島の音楽大学でパイプオルガンを学ばれ、卒業後フランスに渡り、初めて古楽の世界に足を踏み入れてチェンバロを始められます。チェンバロを M・デヴェリテに、古楽オルガンを X・ウスタッシュに、通奏低音を P-A・ブレヴェップに、室内楽を J-P・二コラ、P・コーエン-アケニン各氏に師事され、高い評価を得てディプロムを取得されました。2012 年より 8 年間ヴェルサイユ・バロックセンター(CMBV)にて声楽家らとの数々の公演に参加、古楽器奏者として研鑽を積まれました。「私は運がよかった、周りに助けられ道が開けて 16 年もの間パリに住むことができたんですよ」と話されます。そして修士号を取得後の2021 年「やりたい事はやった」と帰国されました。

 

コロナ禍で宴席やイベント活動など集まりを控える風潮の中、ましてや小さなマーケットの古楽の魅力を、広く伝えることは並大抵ではありません。「なんとか小さい子どもの頃から生演奏に触れて欲しい。音の持つ不思議な体験をして欲しい」と、もがき活動する平出さんに厳しい言葉が飛びます。「今は音楽や動画はサブスクで何時でも、家で楽に見聞きできる。リアルのイベントに行く暇もお金もないんや」という青年の声でした。自分の好きな世界にどっぷり浸かって、知らない未知の世界には手を出さないなんてもったいないって思いますがね。好奇心と新たに一歩踏み出す勇気、これって人が成長するために大切なんだけどなぁ。「リアルで共感、体感、実感してもらいたい!!!」と平出さんは意気込まれます。子どもの頃にコンサートで聴いたハイドンのヒバリ、あの時の「わーッ」とくる空気の振動が忘れられないからです。「音楽ホールや教会での演奏会はハードルが高いと思われ、敬遠されがちなクラッシックだけど、生演奏の響きと、演奏者・来場者の熱量の交換がおこる空間を楽しんで欲しい。そのために今やりたい、出来る事をとにかくやる」と話されます。チェンバロは基本的に全て一点物。幅90cm 長さ 230cm 65kg というイタリア製の楽器を車に積んで、地元の人にもあまり知られていない場所、ギャラリーやカフェ、酒蔵や寺や古民家で、街の色んな人とコラボして、それぞれの魅力を引き出す。会場・来場者・演奏者に三方よしのサロンコンサート『オトノワ』活動を広げていきたいと力強く語られます。益々のご活躍を期待しております。

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