ふるさとに
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今回は東近江市今在家町(旧湖東町)にお住いの大工棟梁で、全国「くむんだー」木のジャングルジム協会会長の川村克己さんをご紹介します。
15歳から大工の道を志した川村さんは、国内産の木材を手加工だけで部材に仕上げ、礎石に直接軸組を組上げ、水平材の大貫が壁下地として使われる、近江湖東地域の石場建木造伝統工法を今も守り続けておられる大工の棟梁です。滋賀県下の林業者や製材業者、大工・工務店、設計者が連携・協働して県内産木材や自然素材にこだわった、滋賀県生まれの滋賀県育ちの環境こだわり共生住宅の提供に、20年以上前から取組んでおられます。
2004年に発生した中越沖地震は、中山間部の木造伝統民家に大きな被害を与えました。伝統民家が大地震に備える耐震改修を研究されている、秋田県立大学の鈴木名誉教授がその調査に行かれることを聞かれた川村さんは「是非とも一緒に連れて行って欲しい」と直談判して同行されました。それを機会に鈴木名誉教授とのご縁が出来、川村さんの組上げる軸組を見た鈴木さんが「伝統工法はジャングルジムみたいやな」と言われたことをヒントに、貫工法をアレンジした「くむんだー」を考案されました。「木のジャングルジムの組立から解体まで遊びながら協働精神を育み、木材の手触りや温もりや匂いを五感で体験し、伝統工法を通じてものづくりやものを大切にするルールやマナーを学べる、遊びとして楽しめる木育の玩具として造りました」と話されます。
「くむんだー」のデビューは2011年、荒神山公園で開催された滋賀県主催のイベントでした。「来場者の子どもたちが組みあがった「くむんだー」に興味を示してほしかったのですが、思うようにはいきませんでした。そこで、一旦解体をし、組み立てる事を子どもたちと始めると、どんどん集まってきたんよ」と川村さん。今の時代は遊ぶものはたくさんありますから、自分でつくることに興味を示すのかもしれませんね。平和堂さん主催のイベントなど大きなイベントを中心に「くむんだー」のPR活動を続けられました。新たに「くむんだー」にすべり台を付け足した「るんだー」は、1歳児でも遊べるようにと、スケール調整や踊り場・「のぼるんだー」などアレンジし、少しでも多くの子どもに「くむんだー」で木育体験してもらえる取組みをされています。
2016年に設立された、全国「くむんだー」木のジャングルジム協会は、東北から九州までの全国各地44拠点で大工が核となる建設会員企業等で構成され、日本各地で木育によるモノづくりの大切さや楽しさを教え、次の担い手づくりにもつなげています。なかでも「くむんだー」郡上の活動は目を引きます。フランスやオーストラリアでの「くむんだー」の組立イベントを9回開催。昨年はドイツや韓国でもワークショップを実施しました。会長として参加された川村さんは「「くむんだー」は世界の共通語になるといいなあと」と笑われます。組立てたり解体したり、ホゾにクサビ打込んだりできる「くむんだー」と同様に、木の質感や温かさを手のひらで体感できる「ウッドエッグ」は乳幼児からの木育玩具として川村さんは推奨されています。「手のひらの中で遊べるモノこそ五感で魅力を感じ取るものなんですよ。8m×10m程の小さな空間でいいから、東近江市内に木育の教育施設を少しでも多く創りたい」と、熱い思いで夢を語られます。滋賀県生まれの滋賀県育ちの環境こだわり共生住宅の提供に、「くむんだー」でモノの大切さやモノづくりの楽しさを教える木育の推奨にと、地域の良さを発信しながら現在も活躍を続けられています。益々のご活躍をお祈りします。
https://kumundar.net/
川村工務店 ☎0749-45-3800 FAX0749-45-3808