KIRARI MACHINOHITO

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【現代アート作家】臼田 健人(うすだ けんと)

 今回は東近江市垣見町(旧能登川町)の共同アトリエSoilに工房を構えておられる、現代アート作家の臼田健人さんをご紹介します。
油絵から始まりアクリル画、立体、インスタレーション(展示空間全体を作品)と多彩な現代アートを創作し続けられる臼田さんは、学生時代の作品を丁寧に話されます。修了間もなく、時折垣間見る初々しさのある話は、とても新鮮でした。
子供の頃から一人遊びが好きで、絵を描いたり、家に日常ある物を使って工作したり、ゲームをしたり、妄想することの毎日でした。外遊びの時は、石の手触りや形を見ることが好きで、集めた石を組合わせて立体を造っていたと言われます。これらの体験が自分の原点で、今の制作は一人遊びの一環の様なものだと言われます。

高校生になると美術大学に行きたいと思い始め、親御さんに勧められるままに通っていた習い事を「好きな事・やりたい事」に絞り、美術大学受験の勉強に力を注がれました。しかし劣等感から来る稚拙なプライドやヒガミ根性が邪魔をして、素直に学ぶことがなかなか出来なかったそうです。こんな気持ちを払拭できたのは、心の底から「上手くなりたい」という強い思いでした。そうしてようやく、厳しいアドバイスや指導も受け入れられる様になり、自分自身にも厳しく学べるようになったと言われます。素直な気持ち、大切ですね。
美術大学入学後も臼田さんの揺らぎは続きます。四角く真っ白なキャンパスを汚すことへの違和感から、一発描きに大きなプレッシャーを感じられ、描き始められないのです。そのため描くことから離れ、気持ちが楽になるモノに作風が広がり、立体やインスタレーションが楽しくて、今でも多くの作品の制作に取組んでおられます。しかし2年後に再び絵が描きたいと思い、自分の内面的な心情を題材に表現することを始められました。
最初に大まかな図案を決めて描き始め「ミスった」と気に入らない時には、一旦手を止めて考えられます。考える時はスケッチを100~200枚程度、再考し、納得できるまで描き続けられます。ここまでの創作活動に3ヶ月を費やし、制作は1ヶ月くらいで完成です。「日々の気になったモノを自由に選択し、気になる手法で表現したいんです。作風にしばられたくないし、今ではそれに意味すら感じません」と話され、臼田さんならではの作品は、作風を創ることをされず、自由で捉われの無い創作活動にこだわられています。
現在、臼田さんは『ゆとなみ社』という銭湯継業専門集団に勤められながら、創作活動を続けられています。なぜ銭湯なのかとお尋ねすると「学生時代に作品の構想を考えたり、一段落した時の癒しの場として銭湯を良く利用したんです。ゆったりとした空間と、人との交流が楽しくて、時間に追われる生活をリセットさせてくれる、無くてはならないドはまりの場所だったんですよ」と笑われます。そして続けて夢を語られます。「今の教育の場では美術とのふれあいが薄く、モノづくりの楽しさを教えていないと感じています。近い将来大好きな銭湯を活用して、美術と教育が同時に出来る交流の場を作りたいんですよ」と話されます。忘れられつつある日本の文化と、教えられないモノづくりの楽しさと大切さを未来に伝えたいとの思い、大切ですよね。そんな臼田さんを「応援したい」と、そんな気持ちになりました。臼田さんのこれからのご活躍を楽しみにしています。

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