ふるさとに
芸術・文化・伝統・風土を育む
京都市立芸術大学修了後、滋賀県立大学の講師として教鞭を取られ、以後約25年、現在も学生達にデッサンを指導されています。デッサンは美術制作の基本とされ、出来るだけ早い時期から取組み、指導の元でも自己修練が必要で、その後のスタイルにも繋がる大切なものです。そのため、本来その修得には時間がかかります。しかし授業は半年間という短い期間。その中で今まで美術にあまり触れることの無かった学生にも、デッサンというものを修得してもらわなければなりませんから、田村さんは毎年最初の授業でアンケートを取り、自分の考えややりたい事、デッサンを学ぶ動機などについて、全受講生のことを把握されます。そして授業ごとに個別の目標を明記して、その実現に向けて自信を持って描けるように指導されます。「たくさん描けないので、授業中の一つひとつの行為を丁寧に指導し、評価したい」という考えからだそうです。子供の頃の褒め上手なお父様から注がれた愛情一杯の指導法を参考に、それぞれの学生に対して粘り強く共感の心を持って、良い所を汲み取る指導を心掛けておられます。
“生き物”がお好きな田村さんの作品には、やはり動物達がたくさん描かれています。「生き物を見ていると、そこに存在している背景や生き様を想像します。隠そうとしても隠しきれない部分も垣間見えたり。また、生まれて生きて死を迎える、という生き物に与えられた運命の中でも、何かしらその都度、喜びや楽しさを感じて毎日を普通に過ごしている。楽天的だとも思えるそんなたくましさこそ、愛おしいと思うし、描きたいと思うんです」と。そして更に「制作で描き続け、絵の具を塗り重ねていると絵や線の中に、普段深い所で感じたり、考えている事などが見えて来るんです。そんな言葉で表せない事も、私の作品からじんわりと『あ、なんか分かる』みたいに感じてもらえたら嬉しいですね」と話されます。この様に日常生活や、見ようとしている時には見えないモノを、絵の中では表現できるのだそうです。
現在も約2年ごとに開催される個展を活動の中心に、その他プロジェクトにも参画されながら、田村さんは独自の世界を発信され続けています。今後益々のご活躍をお祈りします。