KIRARI MACHINOHITO

キラリ・まちの人

ふるさとに 
芸術・文化・伝統・風土を育む

浅倉 由輝(あさくら ゆき)さん

今回は東近江市綺田町の野口謙蔵記念館で開催されている、アーティスト・イン・レジデンス2025にて作品展やワークショップをされている、漆作家の浅倉由輝さんをご紹介します。

 

「好奇心一杯でお転婆だった」と幼い頃を振り返られる浅倉さん。スポーツも好きで活動的な一面と、折り紙や紙で立体を造ったり、木や消しゴムを削ったりとあきる事のない日常のモノづくりと、動にも静にもなれる人だそうです。モノづくりがしたいとの思いを残したまま、普通科高校へ進学された浅倉さん。次の進路を決める2年生になった頃に、不思議なご縁がものづくりを続けられる、芸術大学進学へと導いてくれました。念ずれば花ひらくですね。

 

芸術大学に入学された浅倉さんは、工芸か立体彫刻か学びを深める道を悩まれましたが「自然とモノの成り立ちや自然の素材が好き」と工芸の道に進まれ、染織・陶磁器・漆工の3分野を1年間学んだ後に、全く未知の存在であった漆芸の道へと学びを深められました。漆が作り出すものに未知の世界を見られたというか、野山の自然が生み出す素材である驚きや、漆自体の言いえぬ不思議な魅力に惹かれ、漆を専攻されるのでした。漆の魅力に取りつかれた浅倉さんは「ハマるとずっとやり続けて飽きない」と言われていた性格通りなんでしょうか、6年間漆の創作活動を続けられ、卒業後も漆作家として生きた素材である漆と向き合いながら、透明な漆の質感と異なる風土が造る自然現象、時代が残した素材や記憶が織りなす造形美が、時間と共に色艶やかに姿を変える様に、空間・時間・人との関係性を探る創作活動をされています。

 

またその傍ら、学生に漆芸を教えるという後継者育成にも力を注いでおられます。今回のワークショップもその一つ。漆そして、漆芸を知ってもらうこと、体験、体感してもらうことで漆芸を広めることも一つの目的とされています。漆芸作品の制作過程の一部を体験してもらう今回のワークショップ『粘土にきおくのもようを描く』では、参加者の思い出を辿り、大切な記憶をその土地の自然のモノを道具に使って、粘土に描くという粘土型作りを体験してもらいます。

 

浅倉さんは90分の間に漆の特性や制作過程の話をされ、作品を仕上げるために参加者のエピソードや嗜好をヒアリングし、そして粘土型を一緒に作ります。和気あいあいと笑顔溢れるワークショップは、アッという間に過ごせる一時でした。作品の出来上がりが楽しみですね。

 

ここからは浅倉さんの匠の技の出番。皆さんが造られた粘土型はひび割れさせない様に、5日間程度ゆっくり天日干しで自然乾燥させます。その後、脱活乾漆(だっかつかんしつ)技法を用いて、粘土型に漆と土の下地と麻布を複数回塗り重ね、強度のある作品の漆の素地を作ります。最後に水につけて粘土型から脱型し、漆の素地の出来上がり。次に漆の素地に仕上げの漆を塗ります。着色や漆の技法によって仕上げの質感や感触を変えたり、漆の特性を活かしたアクセントを作って作品を仕上げられます。「作品の制作過程に自分以外の人が入る取組みは、今回のワークショップが初めてなんです。仕上げの質感や色を考えるために、参加された方のエピソードを聴き、その雰囲気を持ち帰れるように気をつけました」と話されます。「どんなモノを作りたいか」から発想して、仕上がりをイメージしての創作活動ですから、他人の発想したイメージを広げて仕上げるのは、長年のパートナーとの共同作業という訳にはいきませんよね。今回の取組みが、どんな新たな科学変化を起こすのか興味津々です。

 

野口謙蔵記念館アーティスト・イン・レジデンス2025のワークショップ成果展示は、野口謙蔵記念館にて12/13土曜日~21日曜日12時~17時(水曜日休館)まで開催しています。是非ご来場下さい。

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